ヴァシル・キリエンカ

ヴァシル・キリエンカ：ロードとトラックを制したベラルーシの英雄

ヴァシル・キリエンカ（Vasil Kiryienka）は、1981年6月28日、ベラルーシのリチェザに生まれました。彼はロードレースとトラックレースの両方で輝かしいキャリアを築き、数々の勝利を収めた名選手です。

トラックレースでの成功

キリエンカはトラックレースでもその才能を発揮しました。2008年には、マンチェスターで開催された世界自転車選手権のポイントレースで、フランスのクリストフ・リブロンとの激しいデッドヒートを制し、見事優勝。この勝利により、同種目の北京オリンピック出場権を獲得しました。

ロードレースでの活躍

ロードレースでは、特にタイムトライアルで目覚ましい実績を残しています。しかし、近年では山岳レースでもその存在感を示し、2008年のジロ・デ・イタリアでは、デル・ヴィヴォーネ峠を越える過酷な第19ステージを制覇。同レースの山岳賞部門では、エマヌエーレ・セッラに次ぐ2位に入りました。

所属チームの変遷

キリエンカは、2007年から2008年までティンクオフ・クレジットシステムに所属。2009年からはアミーカチップス・クナウフへの移籍が予定されていましたが、2008年12月にケス・デパーニュ（現モビスター）への移籍が発表されました。その後、2013年にはチーム・スカイに移籍し、更なる活躍を見せました。

ジロ・デ・イタリアでの勝利と献身

2011年のジロ・デ・イタリアでは、フィネストレ峠やセストリエーレ峠が組み込まれた難関の第20ステージで勝利。この勝利を、5日前に不慮の事故で亡くなったチームメートのシャビエル・トンドに捧げました。この感動的なエピソードは、多くの人々の心を打ちました。

引退

2019年3月、スクリーニング検査で心臓疾患が見つかり、一時レースから離脱。4月のツール・ド・ロマンディで復帰を果たしましたが、2020年1月30日、心臓疾患に関する医学的なアドバイスを受け、惜しまれつつも現役引退を決意しました。

主な戦績

2002年: ベラルーシ国内選手権 個人タイムトライアル(ITT)優勝
2005年: ベラルーシ国内選手権 ITT優勝、トラックワールドカップ（マンチェスター） ポイント優勝、コッパ・デッラ・パーチェ 優勝、ジロ・デル・カセンティーノ 優勝
2006年: ベラルーシ国内選手権 ITT優勝、トラックワールドカップ（シドニー） スクラッチ優勝、世界選手権ポイントレース 3位
2007年: チームタイムトライアル・アイントホーフェン2位
2008年: 世界選手権ポイントレース優勝、ジロ・デ・イタリア山岳賞部門第2位、第19ステージ優勝
2011年: ジロ・デ・イタリア第20ステージ優勝、ルート・デュ・スュド 総合優勝
2013年: ブエルタ・ア・エスパーニャ第18ステージ優勝
2015年: ジロ・デ・イタリア第14ステージ優勝、世界選手権・ITT優勝
2018年: ベラルーシ国内選手権 個人タイムトライアル(ITT)優勝
2019年: ヨーロッパ競技大会 個人タイムトライアル(ITT)優勝

ヴァシル・キリエンカは、その卓越した才能と努力で、自転車競技界に大きな足跡を残しました。彼の活躍は、これからも多くの人々に語り継がれることでしょう。

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