ヴァシーリー・アレクサンドロヴィチ

ヴァシーリー・アレクサンドロヴィチ：激動の生涯を送ったロシア皇族

ヴァシーリー・アレクサンドロヴィチ（1907年7月7日 - 1989年6月23日）は、ロシア皇帝ニコライ1世の曾孫にあたる皇族です。アレクサンドル・ミハイロヴィチ大公と妃クセニヤ・アレクサンドロヴナ大公女の六男として、ガッチナ宮殿で生を受けました。彼は皇帝アレクサンドル3世の外孫にあたりますが、男系血統ではニコライ1世の曾孫であるため、兄たちと同様にロシア大公の称号は与えられませんでした。

革命と亡命

ロシア革命後、ヴァシーリーは両親や兄姉、そして外祖母であるマリヤ・フョードロヴナ皇太后といった皇族とともにクリミアに幽閉されました。クリミアに集められた皇族たちは、当初皇帝一家と同様に処刑される予定でしたが、1918年にドイツ軍によって解放され、処刑を免れました。その後、1919年にはイギリス政府が派遣した戦艦「マールバラ」に家族とともに乗船し、イギリスへと亡命しました。

アメリカでの新生活

イギリスで母クセニヤと生活した後、1920年代に単身でアメリカ合衆国へ移住しました。アメリカでは、キャビン・ボーイ、造船工、株のブローカー、ワイン醸造業者、養鶏業者など、様々な職業を経験しました。皇族としての身分を離れ、自らの手で道を切り開いたのです。

ロマノフ家協会の総裁として

1980年、ヴァシーリーは兄であるドミトリー・アレクサンドロヴィチ公からロマノフ家協会の総裁職を引き継ぎました。彼はその生涯を終えるまで、この重要な役職を務め上げました。1989年、ヴァシーリーはカリフォルニア州ウッドサイドで生涯を閉じました。

家族

1931年、ニューヨークで亡命ロシア貴族の公爵令嬢ナタリヤ・ゴリツィン（1907年 - 1980年）と結婚しました。ナタリヤとの間には、一女が誕生しています。

* マリヤ（1940年 - ） - 1967年、ウィリアム・ビードルストンと結婚

ヴァシーリー・アレクサンドロヴィチの生涯は、ロシア革命という激動の時代に翻弄されながらも、力強く生き抜いた皇族の姿を伝えています。亡命先で様々な職業を経験し、ロマノフ家協会の総裁として一族を支えた彼の人生は、多くの人々に感銘を与え続けています。

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