ヴァシーリー・ゴリツィン

ヴァシーリー・ヴァシーリエヴィッチ・ゴリツィン公の生涯

ヴァシーリー・ヴァシーリエヴィッチ・ゴリツィン公（1643年 - 1714年）は、ロシア・ツァーリ国の貴族であり、政治家としての活動が目立つ人物です。彼はゴリツィン家の出身で、「大ゴリツィン」と称されることもありました。ロシアの歴史の中で、彼の存在は特に重要です。

初期の生活と政治活動

ゴリツィンは、若年期にロシアのツァーリであるアレクセイの宮廷で過ごし、後にボヤールに昇進しました。1676年、露土戦争が激化する中、彼はウクライナに派遣され、クリミア・ハン国との戦闘やチギリン戦役に参加しました。この体験を通じて、彼はロシア軍における門地制という制度の問題点を認識し、1680年にはこの制度の廃止を目指す活動を始めました。この活動は、ツァーリのフョードル3世によって受け入れられることとなります。

国政の主導と外交政策

1682年5月に発生したモスクワの蜂起によって、ゴリツィンは外交の指導者としての地位を確立しました。同年にフョードル3世が亡くなると、彼の愛人であるソフィア・アレクセーエヴナが摂政としての地位を得て、1682年から1689年の間、ゴリツィンは国政を主導しました。彼は内政においては限られた影響力しか発揮できなかったものの、外交面では重要な成果を上げました。

特に1686年に結ばれた永遠平和条約によって、ポーランド・リトアニア共和国と和解し、キエフを手に入れたことは大きな成果です。この条約により、神聖同盟にも参加しましたが、1687年と1689年に行われたクリミア戦役では連続して敗北を喫し、次第に支持を失っていきました。

内戦とその後の運命

そんな折、ソフィアとピョートル1世の間で内戦が勃発します。ゴリツィンはソフィア側を支持したものの、結果として二人とも失脚しました。彼はその後、同族のボリス・アレクセーエヴィチ・ゴリツィンの嘆願もあって助命されることとなりましたが、ボヤールの地位は剥奪され、財産も没収されました。その後、彼はカルゴポリ、メゼン、ホルモゴルイと追放地が変更され、最終的にはホルモゴルイで生涯を閉じました。

教養と国際的な影響

ゴリツィンは、当時のロシアにおいては高い教育を受けた人物であり、ロシア語のほかにドイツ語、ギリシア語を理解し、ラテン語も流暢に話すことができました。また、外国人との広範な友人関係を持ち、彼らから「大ゴリツィン」と称されています。彼の国際的な交流や外交手腕は、ロシアの政治において大きな影響を与えました。

彼の活動や成果は、ロシアの歴史の中で重要な位置を占めており、その影響は後世にまで及びました。ゴリツィン公の生涯は、ロシアの貴族制度、外交、そして政治の変遷を知る上で非常に興味深い事例となっています。

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