ヴァルティスラフ8世 (ポメラニア公)

ヴァルティスラフ8世：ポメラニア＝ヴォルガスト公、激動の時代を生きた統治者

ヴァルティスラフ8世（1345年頃 - 1415年8月20日）は、ポメラニア＝ヴォルガスト公として、14世紀末から15世紀初頭にかけての激動の時代を生きました。父ヴァルティスラフ6世の跡を継ぎ、兄バルニム6世との共同統治を経て、単独で公領を治めました。彼の生涯は、聖職者から統治者への転身、海賊との戦い、近隣諸国との複雑な関係など、様々な出来事に彩られています。

生涯

ヴァルティスラフ8世は、ヴァルティスラフ6世とアンナ・フォン・メクレンブルク＝シュタルガルトの次男として生まれました。父は当初、彼を聖職者の道に進ませようと考え、14歳でトリプゼースの助祭長に任命されました。しかし、1393年に結婚を決意し、聖職を辞しました。この結婚のために、必要な特免状を得るべく聖地へ巡礼したという伝説も残っています。巡礼には、父の従兄弟であるポメラニア＝スウプスク公ヴァルティスラフ7世も同行する予定でしたが、病のため断念しました。

1394年に父が亡くなると、ヴァルティスラフ8世は兄バルニム6世と共同でポメラニア＝ヴォルガストを統治しました。共同統治時代には、海賊対策としてハンザ同盟に加盟することもありましたが、兄バルニム6世自身が海賊行為に関与することも多く、ハンザ同盟やドイツ騎士団との間に緊張が生じました。1405年にバルニム6世が死去すると、ヴァルティスラフ8世は単独で公領を統治し、兄の息子であるヴァルティスラフ9世とバルニム7世の後見人となりました。

1406年3月、ヴァルティスラフ8世はドイツ騎士団との争いを解決し、ローマへ巡礼しました。ローマ教皇グレゴリウス12世から黄金のバラを授与され、帰国後、プダグラ修道院に寄贈しました。このバラはすぐに奇跡として崇拝されるようになりましたが、後に修道院長ハインリヒによって破壊されました。

ヴァルティスラフ8世の治世中、シュトラールズントでは「パーペンブラント・トム・ズンデ」と呼ばれる事件が発生し、怒った群衆が3人の司祭を火あぶりにしました。ヴァルティスラフ8世は1409年に償いの仲介を試みましたが、問題は解決しませんでした。

ポメラニア＝シュチェチン公スヴァンティボル3世とその息子たちと、ブランデンブルク選帝侯フリードリヒ1世との対立においては、ヴァルティスラフ8世はフリードリヒ1世側につきました。1413年にはフリードリヒ1世と同盟を結び、自身の息子ヴァルティスラフをフリードリヒ1世の娘マルガレーテと婚約させました。しかし、息子ヴァルティスラフは結婚前に亡くなりました。ヴァルティスラフ8世はフリードリヒ1世と共にコンスタンツ公会議に出席し、皇帝ジギスムントからポメラニア公の称号を与えられました。しかしその後、ポメラニアで発生した暴動に対処するため帰国せざるを得なくなり、ヤン・フスの火刑などが行われた公会議には参加できませんでした。

1415年8月20日、ヴァルティスラフ8世は亡くなり、ヴォルガストの聖ペテロ教会に埋葬されました。彼の死後、未亡人アグネスと摂政議会が、彼の息子たちと甥たちの後見を務め、1417年に甥のヴァルティスラフ9世が公領の統治を引き継ぎました。

結婚と子女

ヴァルティスラフ8世は、ザクセン＝ラウエンブルク公エーリヒ4世の娘アグネスと結婚し、4人の子供をもうけました。

ヴァルティスラフ（1398年頃 - 1414/5年）
バルニム8世（1406年頃 - 1451年） - ポメラニア公
スヴァンティボル2世（1409年頃 - 1432/6年） - ポメラニア公
ゾフィー（1453年以降） - ヴェルレ領主ヴィルヘルムと結婚

未亡人となったアグネスは1435年に亡くなり、プダグラ修道院に埋葬されました。

ヴァルティスラフ8世の生涯は、中世末期のポメラニアにおける政治的、社会的な混乱を反映しています。彼は、聖職者から統治者への転身、海賊との戦い、近隣諸国との複雑な関係など、様々な困難に直面しながらも、ポメラニア＝ヴォルガストの統治者としてその役割を果たしました。

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