ザクセン＝ラウエンブルク

ザクセン＝ラウエンブルク公国の歴史

ザクセン＝ラウエンブルク公国（Herzogtum Sachsen-Lauenburg）は、かつて神聖ローマ帝国に存在した公爵領で、1296年から1803年まで、さらに1814年から1876年まで存続していました。この公国は現在のドイツ、シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州の東南端に位置し、中心地域はヘルツォークトゥム・ラウエンブルクに相当します。公国の首都は国名の由来となったラウエンブルク市に置かれていましたが、1619年にラッツェブルクに移転しました。

公国の成立と歴史的背景

ザクセン左派の公国は、1296年の分割相続によって誕生し、主にザクセン＝ラウエンブルクとザクセン＝ヴィッテンベルクに分かれました。この二つの公国は、ザクセン公の選帝侯としての地位を巡って争いを続けます。1314年の国王選挙では、ザクセン＝ラウエンブルクの公爵ヨハン2世がルートヴィヒ4世に投票し、対するザクセン＝ヴィッテンベルク公ルドルフ1世はフリードリヒ3世に票を投じました。結果的に、ルートヴィヒ4世が皇帝に即位しましたが、その後の権力闘争により、彼は廃位されることになります。

選帝侯位と公国の展開

ザクセン＝ラウエンブルクは、14世紀以降、かつてのザクセン王国の名残を受け継ぐ存在としてニーダーザクセンと名乗りました。1500年に設立された帝国クライスでは、ザクセン＝ラウエンブルクがニーダーザクセン・クライスに、ザクセン＝ヴィッテンベルクがオーバーザクセン・クライスに分けられました。

1689年のアスカニア家の男系断絶後、公国の相続問題が生じました。アンナ・マリアとジビッラ・アウグスタの二人の公女は、実家の公国を継承しようと奮闘しましたが、近隣のリューネブルク侯がその権利を主張し、武力で侵攻します。このような混乱の中、ザクセン＝ラウエンブルクの相続権を巡る争いが続き、周辺の国々も各々の主張を持ち寄りました。

1693年にはハンブルクで和議が結ばれ、リューネブルク侯が実質的に公国を支配することが認められたものの、正当な相続人である公女たちは追放されざるを得ませんでした。以後、ザクセン＝ラウエンブルクはブラウンシュヴァイク＝リューネブルクの選帝侯家とつながりを深めていきました。

ナポレオンの時代と公国の変遷

1803年に公国はフランス軍に占領され、以後も度重なる戦争や占領の影響を受け続けました。特にナポレオン戦争中、ザクセン＝ラウエンブルクはフランスの衛星国として取り込まれ、その名は再び歴史の表舞台から消えていきました。1813年にはブラウンシュヴァイク＝リューネブルク選帝侯領と再び統合されます。

ウィーン会議の後、1815年にザクセン＝ラウエンブルクはデンマーク王国に譲渡され、同君連合が成立しました。その後もプロイセン王国との関係が続き、最終的には1871年のドイツ帝国成立に際し、帝国の構成国としての地位を得ましたが、1876年に公国は解体となります。

近代以降のザクセン＝ラウエンブルク

解体後、ザクセン＝ラウエンブルクの領土はプロイセン領シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン県として統合され、1918年には君主制が廃止されました。最終的には1946年にドイツ連邦共和国の一部として現在に至ります。

結論

ザクセン＝ラウエンブルク公国は、その長い歴史を通じて様々な変遷を迎え、多くの公爵家や周辺国との複雑な関係を持っていました。特に選帝侯位を巡る争いとナポレオン戦争の影響は、公国の運命に大きな足跡を残しました。今日においても、その歴史的背景は地域の文化やアイデンティティに影響を与え続けています。

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