ヴァレリー・トリールヴァイレール

ヴァレリー・トリールヴァイレール

フランスの著名なジャーナリストであるヴァレリー・トリールヴァイレール氏（Valérie Trierweiler, 1965年2月16日生）は、日本語メディアではバレリー・トリルベレールと表記されることもあります。彼女は、フランス第五共和政における初めての、結婚していない事実婚のパートナーとしてファーストレディの役割を務めたことで広く知られています。

生い立ちとキャリア

ヴァレリー・トリールヴァイレール氏は、フランス西部のメーヌ＝エ＝ロワール県アンジェにて生を受けました。戦傷病者であった父と、アイススケート場や花店で働いていた母の間に生まれた5人目の子供でした。決して裕福ではなかった家庭環境のため、中学校にあたるコレージュ時代から学業と両立しながら働き、経済的に苦労しながらもパリ第1大学を卒業しました。私生活では二度の離婚を経験し、三人の子供がいます。ジャーナリストとしては、フランスの週刊誌「パリ・マッチ」の編集者を務め、2005年から2011年には民放テレビ局ディレクト8で政治番組の司会も担当しました。

ファーストレディとしての役割

2006年に、当時国民議会議員であったフランソワ・オランド氏とフランスの民事連帯契約（PACS）を結び、事実上のパートナーとなりました。2012年にオランド氏が大統領選挙に勝利し、フランス大統領に就任すると、ヴァレリー・トリールヴァイレール氏は結婚していないパートナーとして異例のファーストレディにあたる役割を担うことになります。これはフランス史上初めてのことでした。しかし、一部の海外メディアでは彼女を「ファーストレディ」ではなく「ファーストガールフレンド」と呼ぶこともありました。フランス国内におけるファーストレディとしての人気はあまり高くなく、その評価は分かれていました。

2013年6月には、オランド大統領に同行してファーストレディとして日本を公式訪問しています。後に発表した回顧録の中で、メディアからの厳しい報道や中傷に悩まされていたトリールヴァイレール氏にとって、この日本滞在は特別な思い出として記されています。当時の上皇后美智子様や安倍昭恵首相夫人から受けた温かい配慮やもてなしは忘れがたく、オランド氏と共に訪れた国々の中で最も素晴らしい経験だったと振り返っています。

関係解消とその後

2014年1月10日、オランド大統領が女優のジュリー・ガイエ氏と密会していたことが発覚し、メディアで大きく報じられました。これを受け、トリールヴァイレール氏は同月25日にオランド大統領との関係を解消することを発表しました。

エリゼ宮殿を離れた後、トリールヴァイレール氏は大統領パートナーとしての経験を綴った回顧録を出版しました。この著作は大きな波紋を呼び、いわゆる「暴露本」としてフランス国内で激しい議論を巻き起こしました。与党・野党、左右の陣営を問わず、多くの政治家や国民から、オランド氏に対する不当な攻撃であるとの批判が集まりました。庶民派として労働者層などに支持基盤を持つオランド氏にとっては大きな打撃となり、大統領自身も本の内容について「私を傷つける嘘」だと反論せざるを得ませんでした。

その後、トリールヴァイレール氏はジャーナリストとしての活動を再開する傍ら、フランス自由＝ダニエル・ミッテラン財団などの団体を通じて人道支援活動にも積極的に従事しています。

栄典

2013年5月31日、日本より宝冠大綬章を受章しています。

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