ヴァレンティナ・グリゾドゥボワ

ヴァレンティナ・ステパノヴナ・グリゾドゥボワの人生と業績

ヴァレンティナ・グリゾドゥボワは、1909年4月27日（ユリウス暦4月14日）、ロシア帝国のハリコフ（現在のウクライナ・ハルキウ）で生まれました。航空機設計技師であった父の影響を受け、彼女は早くから航空に興味を持ち、14歳でグライダーの単独飛行を果たしました。ピアノや外国語に秀でた彼女は、ハリコフ工科大学及び音楽学校を卒業後、1929年にはオソアヴィアヒムのペンザ飛行クラブを修了。さらにハリコフ航空学校での訓練も経験しました。

グリゾドゥボワは、1933年にトゥーラ上級飛行学校を卒業し、その後この学校で86人の男性操縦士を指導しました。彼女が務めた宣伝飛行隊では、7つの世界記録を樹立し、その中には女性操縦士による最高到達高度や長距離飛行の記録が含まれます。これらの業績が評価され、グリゾドゥボワは1938年11月2日に女性として初めてソ連邦英雄に叙勲されました。

大祖国戦争での活躍

1941年に始まった大祖国戦争において、グリゾドゥボワは1942年に戦線に加わります。同年5月には第101長距離航空連隊の指揮官に任命され、連隊には300人以上の要員が所属していました。彼女の指揮の下、部隊は敵軍への爆撃やパルチザン支援を行い、特にレニングラードへの物資輸送を成功させました。

グリゾドゥボワの部隊は、少なくとも1,850回の任務飛行を行い、約1,500トンの兵器や物資をパルチザンに提供しました。彼女の指導により、パルチザン活動の拠点となる滑走路も建設され、連隊の活動に大きく貢献しました。1944年には、彼女の指揮する連隊に名誉称号「クラスノセルスキー」が授与され、グリゾドゥボワ自身も多くの勲章を受けました。

戦後の活動

戦後、西部戦線での功績を評価された彼女は、1946年に大佐として予備役に入りました。その後、ナチスドイツの戦争犯罪に関する特別国家委員会に女性唯一の委員として参加し、国家の損害賠償を求める調査にも関与しました。退役後は航空業界で試験飛行や機器開発に携わり、また宇宙飛行士の支援なども行いました。

1993年4月28日、彼女はモスクワで死去し、ノヴォデヴィチ墓地に埋葬されました。彼女の功績は、現代でもさまざまな形で記憶されています。

叙勲と顕彰

グリゾドゥボワは、ソ連邦英雄や社会主義労働英雄など数々の名誉を受けました。また、彼女の名を冠した通りや記念碑がウクライナやロシアの各地に存在しており、彼女の遺産は今なお多くの人々に受け継がれています。特に、ハルキウ市の博物館や彼女に関する研究発表などが盛んに行われ、戦争と航空の歴史における彼女の重要性が再認識されています。

グリゾドゥボワの人生は、彼女の航空への情熱と献身に彩られており、特に女性にとっての先駆者であることから、彼女の影響は今後も語り継がれていくことでしょう。

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