ヴァレンティン・グルシュコ

ヴァレンティン・ペトローヴィチ・グルシュコ

ヴァレンティン・ペトローヴィチ・グルシュコ（1908年9月2日生まれ - 1989年1月10日没）は、ソ連の宇宙開発において重要な役割を果たしたウクライナ人エンジニアです。彼は、セルゲイ・コロリョフやウラジミール・チェロメイと共に、米ソ宇宙競争の中で数々のロケット技術を開発し、その業績は今日の宇宙探査の根幹を成しています。グルシュコはOKB-456（後のNPOエネゴマシュ）のリーダーとして、多くの成果を達成しました。

初期の経歴と大粛清

彼のキャリアは、1938年のソ連の大粛清という困難な時期に始まりました。この時期、多くの知識人や関係者が「反体制派」として粛清される中、グルシュコはジェット推力研究所の所長でした。彼は当時の同僚であるセルゲイ・コロリョフについて、国家資源の浪費を理由にNKVDに告発し、その結果、コロリョフは懲役10年の刑を受け、シベリアの強制収容所に送られることになりました。グルシュコ自身も8年の懲役を受け、その後シャラーシカに収容されました。

短い収容期間

しかし、グルシュコの刑期は途中で減刑され、また拘置中に不当な告発であることが認められ、彼とコロリョフの両者は名誉を回復されます。コロリョフは宇宙開発における多くの功績から、死後に国葬を受けるに至りました。一方、グルシュコは、コロリョフが自身を告発したことを後に知り、強い恨みを抱くことになります。

技術者としての競争

グルシュコは、ロケットエンジンの設計と開発において傑出した才能を発揮しましたが、彼はコロリョフの影響力の強さに不満を感じていました。特にグルシュコが開発した高推力エンジンについての提案がコロリョフに受け入れられないことに腹立たしさを抱いており、両者の間には確執が生じました。特に、N-1ロケットにおける推進剤の選択を巡る意見の不一致は、彼らの関係をさらに悪化させました。

最後の業績とレガシー

1974年、グルシュコは「NPOエネルギア」と改名された第1設計局のリーダーとなり、1989年までの間にソ連の宇宙開発に貢献し続けました。彼の業績は、今日の宇宙技術の発展に寄与し、現代のロケット工学の発展においてもその影響を与えています。宇宙開発の歴史における彼の役割は重要であり、後世にその名が記憶され続けることでしょう。

参考資料と関連項目

グルシュコの一生と業績については、関連資料やテレビシリーズ『Space Race』などで紹介されています。さらに、彼の生誕地であるオデッサにはグルシュコの銅像が設置されており、彼の功績が称えられています。

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