ヴァレーゼ・カルチョSSD

ヴァレーゼ・カルチョ

ソチエタ・スポルティバ・ディレッタンティスティカ・ヴァレーゼ・カルチョは、イタリア・ロンバルディア州ヴァレーゼにかつて存在したプロサッカークラブです。1910年にヴァレーゼFCとして産声を上げたこのクラブは、激動の歴史をたどり、2019年に最終的に解散しました。

歴史

ヴァレーゼは、クラブ創設当初は主に下位リーグでの活動が中心でした。しかし、1960年代から1970年代にかけて、クラブは黄金期を迎えます。ピエトロ・アナスタシ、ロベルト・ベッテガ、クラウディオ・ジェンティーレといった、後にイタリアサッカー界を代表する選手たちが在籍し、この時期に合計7シーズンをイタリアのトップリーグであるセリエAで戦いました。中でも、1967-68シーズンにはユヴェントスに5-0、1971-72シーズンにはラネロッシ・ヴィチェンツァに4-0で勝利するなど、記憶に残る試合も生まれています。

しかし、1974-75シーズンを最後にセリエAの舞台から遠ざかると、クラブは長期的な低迷期に突入します。財政的な問題が深刻化し、2004年には経営破綻により地域リーグのエッチェッレンツァまで降格するという苦渋を味わいました。ASヴァレーゼ1910として再出発を切ったクラブは、地道な努力を続け、2010-11シーズンには26年ぶりにセリエBへの復帰を果たします。復帰初年度から2シーズン連続でセリエA昇格プレーオフに進出するなど、かつての輝きを取り戻すかのような時期もありましたが、最高峰への道のりは閉ざされました。

その後もクラブは財政難から抜け出せず、2014-15シーズンには再びセリエBから降格。再建を目指しましたが叶わず、2019年8月12日、裁判所による正式な破産宣告を受け、クラブは消滅しました。ヴァレーゼのサッカーの伝統を引き継ぐ明確な後継クラブが現れなかったため、2019-2020シーズンはどの公式リーグにも登録されませんでした。クラブ解散後、ヴァレーゼのファンによって設立されたASDチッタ・ディ・ヴァレーゼというクラブが、赤と白のクラブカラーを受け継いで活動していますが、正式な後継団体とは位置づけられていません。

クラブ名称の変遷

ヴァレーゼは設立から解散までに何度かその名称を変更しています。

1910-1923: ヴァレーゼ・フットボール・クラブ (Varese Football Club)
1923-1926: アッソチャツィオーネ・スポルティーヴァ・ヴァレジーナ (Associazione Sportiva Varesina)
1926-1947: ヴァレーゼ・スポルティーヴァ (Varese Sportiva)
1947-1971: ヴァレーゼ・フットボール・クラブ1910 (Varese Football Club 1910)
1971-1988: ヴァレーゼ・カルチョ1910 (Varese Calcio 1910)
1988-2004: ヴァレーゼ・フットボール・クラブ (Varese Football Club)
2004-2015: アッソチャツィオーネ・スポルティーヴァ・ヴァレーゼ1910 (Associazione Sportiva Varese 1910)
2015-2018: ヴァレーゼ・カルチョ・ソチエタ・スポルティーヴァ・ディレッタンティスティカ (Varese Calcio Società Sportiva Dilettantistica a r.l.)
2018: ソチエタ・スポルティバ・ディレッタンティスティカ・ヴァレーゼ・カルチョ (SocietàSportiva Dilettantistica Varese Calcio Srl)

主な獲得タイトル

ヴァレーゼはセリエAのタイトル獲得経験はありませんが、下部リーグにおいていくつかのタイトルを獲得しています。

セリエB: 3回 (1963-64, 1969-70, 1973-74)
コッパ・イタリア・セリエC: 1回 (1994-95)
コッパ・イタリア・セリエD: 1回 (1993-94)
セリエC: 2回 (1942-43, 1962-63)
セリエC1: 1回 (1979-80)
セリエC2: 1回 (1997-98)
レガ・プロ・セコンダ・ディヴィジオーネ: 1回 (2008-09)

記録

セリエAでの特筆すべき記録には以下があります。

ホーム最多得点勝利: ヴァレーゼ 5-0 ユヴェントス (1967-68シーズン)
アウェイ最多得点勝利: ラネロッシ・ヴィチェンツァ 0-4 ヴァレーゼ (1971-72シーズン)
アウェイ最多失点敗北: インテル 6-0 ヴァレーゼ (1968-69シーズン)
ホーム最多失点敗北: ヴァレーゼ 1-6 カリアリ (1968-69シーズン)

過去の成績（抜粋）

クラブは2000年代に入ってからも経営難と成績不振に苦しみ、激しい昇降格を経験しました。

2003-04: セリエC1 16位、財政破綻によりエッチェッレンツァへ降格。
2005-06: セリエD 1位、セリエC2昇格。
2008-09: セリエC2 1位、レガ・プロ・プリマ・ディヴィジオーネ昇格。
2009-10: レガ・プロ・プリマ・ディヴィジオーネ 2位、プレーオフ勝利によりセリエB昇格。
2010-11: セリエB 4位、プレーオフ敗退。
2011-12: セリエB 5位、プレーオフ敗退。
2014-15: セリエB 21位、破産により降格。
2015-16: エッチェッレンツァ 1位、セリエD昇格。
2017-18: セリエD 18位、エッチェッレンツァへ降格。
2019-20: 破産により活動停止。

著名な在籍者

ヴァレーゼの歴史には、多くの著名な選手や監督が名を連ねています。

選手では、前述のアナスタシ、ベッテガ、ジェンティーレに加え、ジュゼッペ・メアッツァ、ジョバンニ・トラパットーニ、ロベルト・ボニンセーニャ、ジャンルカ・ペッソット、フェデリコ・バルザレッティ、アントニオ・ディ・ナターレ、マッシモ・マッカローネ、レオナルド・パヴォレッティなど、後にイタリア国内外で活躍した選手たちが在籍しました。

監督としては、ルイス・モンティ、ニルス・リードホルム、エウジェニオ・ファシェッティ、ジュゼッペ・サンニーノといった名将たちがチームを率いています。

度重なる困難にもかかわらず、ヴァレーゼ・カルチョはセリエA経験を持つクラブとして、イタリアサッカー史の一頁にその名を刻んでいます。

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