ヴィエンチャン都

ヴィエンチャン都：歴史と文化が息づくラオスの首都

ヴィエンチャン都（ນະຄອນຫຼວງວຽງຈັນ）は、ラオスの首都であり、同国を代表する広域地方行政区分のひとつです。首都機能を持つヴィエンチャン市（チャンタブリー郡、シーコッタボーン郡などを含む）を内包し、特別市として他の県とは区別されます。メコン川の左岸、タイとの国境に位置し、その歴史は古く、ラーオ族の中心地として栄えてきました。

歴史

ヴィエンチャンは、14世紀半ばからラーンサーン王国の版図に入り、1563年にはルアンパバンから遷都されました。1707年にラーンサーン王国が分裂すると、ヴィエンチャン王国の首都として繁栄しました。その後、タイによる占領や破壊を経験しましたが、1899年にフランス領インドシナに編入されると、行政府が置かれました。1953年のフランス＝ラオス条約でラオス王国が独立すると、ルアンパバンの王都と共に行政首都として再興され、1975年の王政廃止後はラオス人民民主共和国の首都となりました。

地理と気候

ヴィエンチャンは、メコン川沿いの低湿な平野に位置し、北東にはプーカオクワイ山脈、西にはプーパデンとプーパナン山脈が連なっています。気候は熱帯モンスーン気候に属し、5月中旬から10月中旬にかけての雨季と、比較的冷涼で乾燥した乾季、そして暑く乾燥した暑季に分かれます。雨季には南西モンスーンの影響で大量の降雨があり、平均降雨量は年間1600mm程度に達します。また、まれに台風や熱帯低気圧の影響で大雨に見舞われることもあります。

行政区分

ヴィエンチャン都は9つの郡で構成されており、その中心はチャンタブリー郡です。これらの郡は、都市部から郊外にかけて広がり、それぞれ異なる特色を持っています。

経済と産業

ヴィエンチャン都は近年、高い経済成長を遂げており、2013/14年度にはGDP成長率が12.7%を記録しました。農業、工業、サービス業がバランス良く発展しており、特に工業セクターでは縫製工場の操業が盛んです。また、経済特区の開発も進められており、国内外からの投資を誘致しています。

農林業

ヴィエンチャン平原は、ラオス国内でも有数の稲作地帯であり、雨季と乾季の両方で作付けが行われています。灌漑設備も整備されており、安定した収穫が期待できます。

工業

1990年代後半から縫製業が盛んになり、ヨーロッパ向けの輸出が拡大しています。また、工業団地の開発も進んでおり、多くの企業が進出しています。

サービス業

観光業は、ヴィエンチャン都の重要な産業の一つです。市内には多くの仏教寺院や歴史的な建造物があり、国内外から多くの観光客が訪れます。

文化と観光

ヴィエンチャン都は、仏教文化の中心地でもあり、多くの寺院が点在しています。

主な観光スポット：

パトゥーサイ（ປະຕູໄຊ）： 戦没者慰霊のための記念碑で、凱旋門のような外観が特徴です。
シェンクワン寺（ວັດຊຽງຄວານ）： ユニークな仏像や彫刻が多数ある寺院です。
ホーパケオ（ຫໍພະແກ້ວ）： かつて王室の寺院だった場所で、現在は博物館として公開されています。
シーサケート寺（ວັດສີສະເກດ）： 数千もの仏像が安置されていることで知られる寺院です。
オントゥー寺（ວັດອົງຕື້）： 歴史ある仏像が安置されている寺院です。
タートルアン仏塔（ທາດຫຼວງວຽງຈັນ）： ラオスを代表する仏塔で、国のシンボルとなっています。
シームアン寺（ວັດສີເມືອງ）： 市民から信仰を集める寺院です。
タートダム仏塔（ທາດດຳ）： 黒い外観が特徴的な仏塔です。
ホアイサーイカーオ仏塔（ຕາດຫ້ວຍຊາຍຂາວ）：美しい景観が楽しめる仏塔です。
噴水広場（ນ້ຳພຸ）： 市民の憩いの場となっている広場です。
ラオス国立博物館（ຫໍພິພິດທະພັນແຫ່ງຊາດ）： ラオスの歴史と文化を紹介する博物館です。
タラートサオ（ຕະຫຼາດເຊົ້າມໍ）： 活気のある市場です。
カイソーン・ポムヴィハーン博物館（ຫໍພິພິດທະພັນ ປະທານ ໄກສອນ ພົມວິຫານ）： ラオスの革命指導者カイソーン・ポムヴィハーンに関する博物館です。
アヌヴォン広場（ສວນເຈົ້າອະນຸວົງ）： 市民の憩いの場です。
タイ＝ラオス友好橋（ຂົວມິດຕະພາບລາວ-ໄທ ແຫ່ງທີ 1）： タイとラオスを結ぶ橋です。
ナムピエンヨラパ（ນຳ້ປຽນຢໍລະປາ）： 自然豊かな観光地です。
レストランウィズエレファント：ユニークな体験ができるレストランです。
プーパナンビューポイント（ພູພະນັ່ງ）：美しい景色が楽しめるビューポイントです。
* タゴーン船上レストラン： メコン川を眺めながら食事ができるレストランです。

自然

都の北東部にはプーカオクワイ保護林、北西部にはプーパナング保護林があり、野鳥や蝶、蘭など豊かな自然が残っています。

ヴィエンチャン都は、歴史、文化、自然、そして経済発展が調和した魅力的な都市です。多様な側面を持ち合わせるこの地は、訪れる人々に様々な発見と感動を与えてくれるでしょう。

もう一度検索