ヴィオラ協奏曲

ヴィオラ協奏曲：知られざる魅力を探求する

ヴィオラ協奏曲は、ヴィオラを独奏楽器として用いた協奏曲です。ヴァイオリンやピアノに比べると、その数は決して多くはありません。しかし、その独特の音色と表現力は、多くの作曲家を魅了し、今日に至るまで多様な作品が生まれています。

ヴィオラ協奏曲の黎明期

初期のヴィオラ協奏曲としては、ゲオルク・フィリップ・テレマンのト長調 TWV 51:G9や、カール・シュターミッツの作品が知られています。これらの作品は、ヴィオラの音色を活かしつつも、高度な演奏技巧を要求するものではありませんでした。同時期に作曲されたモーツァルトの「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」も同様に、超絶技巧を必要とするものではありません。

ヴィオラの特性と協奏曲

音楽学者の中には、ヴィオラの音色の浸透力が、ピアノやヴァイオリンに比べて弱いため、協奏曲の独奏楽器としては適していないと考える人もいました。しかし、20世紀に入ると、ライオネル・ターティスのような優れたヴィオラ奏者が登場し、ヴィオラの可能性を大きく広げました。

20世紀以降のヴィオラ協奏曲

20世紀以降、ウィリアム・ウォルトンやパウル・ヒンデミットをはじめとする作曲家たちが、ヴィオラ協奏曲を積極的に作曲しました。また、エルガーのチェロ協奏曲のように、他の楽器のために書かれた作品がヴィオラ用に編曲されることもありました。柴田南雄は、20世紀の作曲家たちが、バロックからロマン派にかけてヴィオラ作品が少ないことに着目したことが、作品数増加の背景にあると指摘しています。

主なヴィオラ協奏曲作品

以下に、代表的なヴィオラ協奏曲の作曲家と作品をいくつかご紹介します（作曲家の生年順）。

テレマン - ヴィオラ協奏曲ト長調 TWV 51:G9
イジー・アントニン・ベンダ - ヴィオラ協奏曲ヘ長調（1775頃）
カール・シュターミッツ - ヴィオラ協奏曲ニ長調、イ長調、ハ長調
アントン・シュターミッツ - ヴィオラ協奏曲変ロ長調
ホフマイスター - ヴィオラ協奏曲1番ホ長調、ヴィオラ協奏曲2番ニ長調
ベルリオーズ - 交響曲「イタリアのハロルド」op.16
ブルッフ - ロマンツェ op.85
ヴォーン・ウィリアムズ - 「野の花」、ヴィオラと管弦楽のための組曲
バルトーク - ヴィオラ協奏曲 Sz120（未完）
ウォルトン - ヴィオラ協奏曲
ヒンデミット - 室内音楽5番 Op36-4、ヴィオラと大室内管弦楽のための協奏音楽、ヴィオラ協奏曲「白鳥を焼く男」、「葬送音楽」（ヴィオラと弦楽合奏）
武満徹 - 「ア・ストリング・アラウンド・オータム」
ペンデレツキ - ヴィオラ協奏曲（1983年）
ジョン・ウィリアムズ - ヴィオラ協奏曲（2009年）

この他にも、数多くのヴィオラ協奏曲が存在します。ぜひ、お好みの作曲家や作品を探求し、ヴィオラの魅力を再発見してみてください。

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