ヴィクトル・ネスラー

ヴィクトル・エルンスト・ネスラー（Victor Ernst Nessler, 1841年1月28日 - 1890年5月28日）は、ドイツの作曲家です。アルザス地方のバルデンハイムで生まれ、当初は神学を専攻していましたが、後に音楽の道へ進みました。彼の姓は、古い時代には「Neßler」や「Neszler」と綴られることもありました。

生涯

シュトラスブルク大学で神学を学んでいたネスラーですが、1864年に学業を中断し、自作のオペレッタ《花の妖精たち „Fleurette“ 》の上演に取り組みました。その後、ライプツィヒに移り、モーリツ・ハウプトマンに師事し、本格的に音楽の研鑽を積みました。

ネスラーは、メルヘン・オペラの作曲家として知られています。彼の作品の中でも特に有名なのは、1879年5月19日にライプツィヒで初演された《ハーメルンのねずみ取り „Der Rattenfänger von Hameln“ 》と、1884年5月4日に同じくライプツィヒで初演された《ゼッキンゲンのラッパ吹き „Der Trompeter von Säckingen“ 》です。《ゼッキンゲンのラッパ吹き》は、ヨーゼフ・ヴィクトール・フォン・シェッフェルのベストセラー詩集を原作としており、その美しい旋律と物語性から広く愛されています。

《ゼッキンゲンのラッパ吹き》は、日本でも一部が知られており、シェッフェルの原詩を森鷗外が翻訳したことや、20世紀初頭には東京音楽学校の学生、渡部康三によってコルネット演奏された記録があります。しかし、全曲が日本で初めて上演されたのは、2006年に山形県長井市（バート・ゼッキンゲンの姉妹都市）でのことで、瀧井敬子のプロデュースによるものでした。

ネスラーは、数多くのオペラの他に、合唱曲や歌曲も作曲しました。彼の作品は、ロマンティックな旋律と、劇的な展開が特徴で、多くの人々に感動を与えました。

彼の死後、1895年にシュトラスブルクには、彫刻家アルフレート・マルツォルフによって記念碑が建てられました。ネスラーの音楽への貢献は、後世に語り継がれています。

外部リンク

主要作品一覧、日本語
Notenliteratur（独語）

参考文献

瀧井敬子『漱石が聴いたベートーヴェン』（中公新書）

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Chisholm, Hugh, ed. (1911). "Neszler, Victor". Encyclopædia Britannica (英語). Vol. 19 (11th ed.). Cambridge University Press. p. 412.

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