ヴィクトル・モチュルスキー

ヴィクトル・イヴァノヴィッチ・モチュルスキー（Victor Ivanovitsch Motschulsky、1810年4月11日 - 1871年6月5日）は、ロシアの昆虫学者であり、特に甲虫類の研究で知られています。彼はヴィクトル・フォン・モチュルスキー(Victor von Motschulsky)とも呼ばれていました。

概要

モチュルスキーはロシア帝国陸軍の大佐でもありました。彼はシベリア、アラスカ、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど、広範囲な地域で甲虫類を調査し、数多くの新属新種を記載しました。これらの新種は、現在でも有効なものとして認められています。彼の発表は主に甲虫目に関するものでしたが、鱗翅目や半翅目に関する研究も手がけていました。

モチュルスキーの研究には、以前の研究を軽視したり、分類学に疎かったりする面もありましたが、探索が困難な地域の未開拓地を探検し、昆虫学の発展に大きく貢献しました。彼の精力的な探求心と標本収集が、昆虫学の知識を広げたことは間違いありません。

モチュルスキーが収集した膨大な標本は、現在、モスクワ大学、サンクトペテルブルク動物学博物館、フンボルト博物館、ドイツ昆虫学研究所などで保管されています。これらの標本は、後世の研究者にとって貴重な資料となっています。

生涯

1810年、モチュルスキーはサンクトペテルブルクで生まれました。彼はヨーロッパ各地やロシア国内外を頻繁に旅行し、昆虫採集を行いました。

1836年：フランス、スイス、アルプス、北イタリア、オーストリアを訪問
1839年 - 1840年：コーカサス、アストラハン、カザフスタン、シベリアを訪問
1847年：キルギスを訪問
1850年 - 1851年：ドイツ、オーストリア、エジプト、インド、フランス、イギリス、ベルギー、ダルマチアを訪問
1853年：アメリカ、パナマを訪問し、ハンブルク、キール、コペンハーゲンを経由してサンクトペテルブルクに戻る

その後、同年中にドイツ、スイス、オーストリアを再び訪問しています。1871年、モチュルスキーはシンフェロポリで亡くなりました。

モチュルスキーの生涯は、探求心と昆虫学への情熱に満ちたものでした。彼の研究とコレクションは、現在も昆虫学の発展に貢献し続けています。

参考資料

Essig, E.O., 1972. A History of Entomology. Hafner Publishing Co., New York. p.1,029

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