ヴィゼウ公

ヴィゼウ公

ヴィゼウ公（ポルトガル語: Duque de Viseu）は、かつて存在したポルトガル王国において創設された公爵位の一つです。その起源は15世紀初頭に遡ります。

公位の創設

この公爵位は、1415年にポルトガル王ジョアン1世によって創設されました。国王は、北アフリカの港湾都市セウタを征服した軍事的偉業を称え、その功績に報いるため、自身の三男であるエンリケ王子にこの称号を与えました。後の「航海王子」として世界史に名を刻むエンリケが、ヴィゼウ公の初代当主となりました。彼はこの称号のもと、ポルトガルの大航海時代初期における探検事業の推進者として、探検隊の組織や航海術・科学の研究に多大な貢献をしました。

継承とアヴィス朝

1460年にエンリケ航海王子が後継者なく没すると、ヴィゼウ公位は彼の甥にあたるフェルナンド王子に継承されました。フェルナンドは当時の国王ドゥアルテ1世の次男であり、既に重要な称号であるベージャ公位も保持していました。これにより、ヴィゼウ公位はベージャ公位と密接に結びつくことになり、以後、両公位を兼ねる者が多く現れることになります。フェルナンドは王家傍系の有力貴族として、アヴィス朝の宮廷で重要な役割を果たしました。

フェルナンドの死後、ヴィゼウ公位とベージャ公位は彼の息子たちに引き継がれました。長男のジョアン（1448年 - 1472年）がまず継承しましたが、若くして嗣子なく亡くなりました。次に公位を継いだ次男のディオゴ（1450年 - 1484年）は、国王ジョアン2世による有力貴族弾圧策の中で、1484年に処刑されるという悲劇的な運命をたどりました。

王位への道

ディオゴの死後、その弟であるマヌエル王子（フェルナンドの六男）がヴィゼウ公位およびベージャ公位を継承しました。兄たちの相次ぐ死去を経て、マヌエルはアヴィス朝の傍系において最も有力な立場となりました。そして1495年、国王ジョアン2世が嗣子なく没したことから、マヌエルがポルトガル王位に就き、ポルトガル史上最も繁栄した時代の一つを築いたマヌエル1世となります。ヴィゼウ公位は、彼が王位に到達する上で重要な要素の一つであったと言えます。

その後の当主

マヌエル1世の娘であるマリア王女（1521年 - 1577年）もまた、ヴィゼウ公位を継承した当主の一人です。

ポルトガルで王政が廃止された以降、ヴィゼウ公位は名目上の称号となりましたが、ブラガンサ家の一系統によって継承されてきました。19世紀にはミゲル王子（1878年 - 1923年、廃位された国王ミゲル1世の孫にあたるミゲル2世・デ・ブラガンサの子）がこの称号を用いました。さらに現代においては、ブラガンサ公爵ドゥアルテ・ヌノの次男であるミゲル・ハファエル王子（1946年 - ）が当主とされています。

まとめ

ヴィゼウ公位は、その創設からポルトガル王家と深く関わり、ベージャ公位と兼ねられることが多く、特にポルトガルの黄金期を築いたマヌエル1世を輩出した称号として、ポルトガルの歴史において重要な位置を占めています。

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