ヴィニー・ジョンソン

ヴィンセント・ジョンソンは、1956年9月1日生まれのアメリカ合衆国出身の元プロバスケットボール選手です。身長188cm、体重90kgと恵まれた体格を持ち、ポジションはシューティングガードとして活躍しました。特に、NBAのデトロイト・ピストンズでは主力選手として2連覇に大きく貢献しました。

ニューヨーク州ブルックリンで生まれたジョンソンは、マクレナン・コミュニティ・カレッジで2年間プレーした後、ベイラー大学に転入しました。ベイラー大学では2年間で平均24.1得点という驚異的な記録を打ち立て、学校記録を樹立しました。1979年のNBAドラフトでは全体7位という高評価でシアトル・スーパーソニックスに入団し、プロのキャリアをスタートさせました。

1981年、ジョンソンはデトロイト・ピストンズに移籍します。当時のピストンズは、アイザイア・トーマスを筆頭に"バッドボーイズ"と呼ばれ、その荒々しいプレースタイルと圧倒的な強さでNBAを席巻していました。ジョンソンは、トーマスとジョー・デュマースという名手とともに強力なバックコートを形成し、チームの攻撃を牽引しました。彼の持ち味は、何と言っても短時間で爆発的に得点を重ねる能力でした。そのプレースタイルから、ボストン・セルティックスのダニー・エインジによって"The Microwave"（電子レンジ）というニックネームが付けられ、瞬く間に定着しました。

ジョンソンの真価が最も発揮されたのは、1990年のNBAファイナル第5戦でした。3勝1敗で2連覇に王手をかけていたピストンズは、ポートランド・トレイルブレイザーズに苦戦を強いられていました。しかし、後半に入るとジョンソンが怒涛の連続得点を叩き出し、チームを90-90の同点にまで引き戻しました。そして、運命のラストショット。ジョンソンは残り0.07秒という時間の中、決勝シュートを冷静に沈め、ピストンズを92-90の勝利に導き、見事2連覇を達成しました。この劇的な勝利により、ジョンソンは0.07秒にかけて"007"という新たなニックネームでも呼ばれるようになりました。

ジョンソンは1991年にサンアントニオ・スパーズに移籍し、1シーズンプレーした後、現役を引退しました。NBAでの通算成績は、984試合に出場し、11,825得点3,212アシスト（平均12.0得点3.3アシスト）を記録しました。ピストンズでは、得点（7位）・アシスト（6位）・スティール（7位）など、数々の部門で球団史上トップ10にランクインしています。

1994年、ジョンソンの背番号『15』は、デトロイト・ピストンズの永久欠番に指定され、彼の功績は永遠に称えられています。

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