リトアニア共和国の首都
ヴィリニュスに本部を置く国立の高等教育機関です。正式名称は
リトアニア語でVilniaus Gedimino technikos universitetasといい、
英語名はVilnius Gediminas Technical Universityです。現在は略称として「VILNIUS TECH」を使用しています。
リトアニア国内には2つの主要な工科大学がありますが、そのうちの一つとして重要な役割を担っています。
沿革
本学の歴史は、
1956年9月1日に
カウナス工業大学 (KPI) 夜間学部に
ヴィリニュス夜間部が設置されたことに遡ります。これは
ヴィリニュスにおける工学分野の高等教育の礎となりました。初代夜間部長には化学者のイェロニマス・クダバ准教授が就任しました。
その後、組織改編を経て、
1960年7月には
ヴィリニュス夜間部は独立した夜間学部となり、アレクサンドラス・チーラス氏が学部長に就任。建設、電子工学、応用機械といった分野で約500名の学生が学びました。
1961年7月には、
カウナス工業大学
ヴィリニュス校へと発展し、昼間部と夜間部の両方が設置されます。チーラス氏が引き続き校長を務め、学生数が増加するにつれて、機器製造や機械技術などの新たな専門分野が開設されました。
ヴィリニュスに独自の工科大学が誕生したのは
1969年8月1日です。
カウナス工業大学
ヴィリニュス校が
ヴィリニュス建設工科大学(略称: VISI)として独立しました。
ソビエト連邦からの独立後、
1990年には
ヴィリニュス建設工科大学は
ヴィリニュス工科大学(略称: VTU)へと名称を変更。さらに
1996年8月22日には、
リトアニア大公
ゲディミナスの名を冠し、現在の
ヴィリニュス・
ゲディミナス工科大学(略称: VGTU)となりました。
近年では、大学のブランディング刷新が進められ、
2020年9月1日には校章とロゴが変更され、略称も「VGTU」から「VILNIUS TECH」に改められています。2021年には建築工学者のロムアルダス・クリュカス氏が新たな学長に選出され、現在に至ります。
組織と学生構成
2021年から2022年の学年度において、本学には約8,200名の学生が在籍しています。内訳は学士課程が約6,200名、修士課程が約1,700名、そして博士課程が約200名です。特筆すべきは、全学生の17.8%にあたる約1,460名が81カ国から集まった留学生である点です。また、提供されている全てのプログラムのうち、約49%が
英語で実施されており、国際的な学習環境が整備されています。
学部構成
ヴィリニュス・
ゲディミナス工科大学は、多岐にわたる専門分野をカバーするため、以下の9つの学部・研究院を設置しています。
アンタナス・グスタイティス航空学研究院
リトアニア航空の父とされる人物にちなんで名付けられ、
1993年に設立されました。パイロット、航空管制官、技術者など、航空分野の専門家育成を担っており、特にパイロット訓練プログラムは全て
英語で行われています。
環境工学部
1968年設置。4つの学科と4つの研究所を有し、環境に関わる幅広い学士・修士プログラムを提供しています。
建築学部
起源は
カウナスの大学に遡り、1971年に本学に移管されました。
リトアニア国内における建築教育機関としては最大規模を誇り、約500名の学生が学んでいます。
電子工学部
歴史は古いものの、1987年に本学の一部となりました。オートメーション、電気工学、コンピュータ工学など、5つの学科から成り、学士から博士課程までを提供しています。
基礎科学部
1993年に設立され、幅広い学部の学生に対し、基礎科学の教養教育を提供しています。現在は8学科と1研究所を有し、様々なレベルの学位プログラムを提供しています。
創造産業学部
本学で最も新しい学部の一つです。社会科学、人文科学、外国語といった一般教養に加え、創造産業に関連する独自の学士・修士プログラムを提供しています。
機械学部
1956年設立と、本学の歴史と共に歩んできた最も古い学部の一つです。3つの学科、1つの研究所、1つのイノベーションセンターから構成され、機械工学分野の教育・研究を行っています。
建設工学部
1920年に設立された歴史を持ち、変遷を経て
1969年に本学に移管されました。本学において最大規模かつ中心的な学部であり、10の学科と9の研究ユニットを有し、建設分野の幅広い教育・研究を推進しています。
交通工学部
1994年設置。3つの学科と2つの研究ユニットを有し、交通システムや交通工学分野の専門家を育成しています。
ビジネス経営学部
1993年に設立され、5つの学科から成ります。ビジネス経営と経済工学の分野で、学士、修士、博士課程を提供しており、特にビジネス経営と経済工学の学士課程は
英語でも学ぶことができます。
歴代学長
本学の歴代学長は以下の通りです。
アレクサンドラス・チーラス (1969–1990)
エドムンダス・カジミエラス・ザヴァツカス (1990–2002)
ロムアルダス・ギネヴィチュス (2002–2011)
アルフォンサス・ダニューナス (2011–2021)
* ロムアルダス・クリュカス (2021年–)