ヴィルナの和約

ヴィルナの和約（ニェミェシャの和約）

ヴィルナの和約（またはニェミェシャの和約）は、1656年11月3日にヴィリニュス（ヴィルナ）近郊のニェミェシャで、ロシア・ツァーリ国とポーランド＝リトアニア共和国の間で締結された停戦条約です。

概要

この条約は、1654年から続いていたロシア・ポーランド戦争の一時的な停戦を目的としており、両国が北方戦争においてスウェーデンに対抗するための同盟を結ぶ契機となりました。具体的には、ポーランド＝リトアニア共和国が戦闘を中止し、同盟を結ぶ見返りとして、ポーランド王ヤン2世カジミェシュの死後、ロシアのツァーリであるアレクセイがポーランド・リトアニア共和国の王位を継承することが定められました。

しかし、ザポロージェ・コサックの首領であるボフダン・フメリニツキーは、この交渉から排除されました。彼は後にラドノート条約において、スウェーデンのトランシルヴァニア侵攻を支持することになります。

歴史的背景

当時、ロシアはポーランドとの戦争で優勢であり、さらにスウェーデンがポーランド＝リトアニア共和国へ侵攻し、大きな成功を収めていました。アレクセイは、共和国が完全に敗北した場合、またはスウェーデンが勝利した場合、スウェーデンが強大化し、ロシアにとって脅威となることを懸念しました。そのため、共和国との和平交渉に踏み切ったのです。

交渉は1655年の秋に、リトアニアの大ヘトマンであるヴィンツェンティ・コルヴィン・ゴシェフスキと、ロシアの指揮官アファナシー・オルディン＝ナシュショキンとの間で始まり、すぐに停戦合意に至りました。この停戦により、共和国はスウェーデンとの戦いに集中できるようになりました。しかし、対スウェーデン戦で有利な状況になった共和国は、態度を硬化させ、ロシアからの領土要求を拒否しました。それでも両国は、スウェーデンを共同で追撃することでは合意しました。また、アレクセイ自身またはその後継者が共和国の王位を継承することについても交渉が行われました（ポーランド・リトアニア・モスクワ共和国構想）。

その後、ロシア軍はスウェーデン領リヴォニアに進軍し、リガを包囲しました。ロシアの同盟者であったザポロージェ・コサックのヘトマン、ボフダン・フメリニツキーは、ロシアの計画を知らされました。彼はポーランドとの一時的な停戦には反対しませんでしたが、ロシアとポーランドが同盟を結び、コサックの反乱を鎮圧することを恐れていました。

その後

1658年、ロシアは再び共和国に侵攻し、ロシア・ポーランド戦争が再開されました。

ヴィルナの和約は、北方戦争における勢力図を大きく変動させる要因の一つとなりました。しかし、その後の情勢変化により、両国の関係は再び悪化し、戦争が再開されることになったのです。

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