ヴィレッジ・シンガーズ

ヴィレッジ・シンガーズ：GSブームを彩った、知的なグループサウンズ

ヴィレッジ・シンガーズは、1960年代後半の日本を席巻したグループサウンズ（GS）ブームにおいて、独特の存在感を放ったグループです。他のGSグループとは異なる洗練されたイメージと、時代を超えて愛される名曲の数々で、多くのファンを魅了しました。

グループ誕生と初期の活動

ヴィレッジ・シンガーズの前身は、フォークグループ「フォーク・トレッカーズ」でした。メンバー小松久、南里孝夫、森おさむ、山岩爽子の4人で活動していましたが、山岩の脱退後、林ゆたか、古関正裕（作曲家・古関裕而の長男）が加入。1966年6月、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジに憧れて「ヴィレッジ・シンガーズ」と名付けられ、活動を本格化させました。

当初はフォーク喫茶「ヴィレッジ」で演奏活動を行い、1966年10月、寺本圭一プロデュースで日本コロムビアからデビュー。しかし、デビューシングル「暗い砂浜」はヒットせず、2枚目のシングル「君を求めて」も同様の結果に終わります。その後、南里と森が脱退し、グループ存続の危機を迎えます。

メンバーチェンジと大ヒット

メンバーの脱退を受け、小松と林は新たなメンバーを探し、小池哲夫、笹井一臣、そして清水道夫を迎え入れました。特に清水道夫の加入は、ヴィレッジ・シンガーズの運命を大きく変えます。

軽井沢での合宿を経て、筒美京平作曲の「バラ色の雲」を発表。この曲は、ブルー・コメッツ風のサウンドと、清水のヴォーカルが絶妙に融合し、大ヒットを記録。フジテレビの音楽番組「ヒット速報」に10週連続出演するなど、一躍人気グループとなりました。

続く「好きだから」、「亜麻色の髪の乙女」も大ヒットし、ヴィレッジ・シンガーズはGSシーンにおけるトップグループの地位を確立します。彼らは、他のGSグループが長髪でワイルドなイメージだったのに対し、短髪でサラリーマン風、優等生的な容姿と知的なイメージで人気を集めました。

人気絶頂から解散へ

その後もヒット曲を連発したヴィレッジ・シンガーズですが、GSブームの衰退とともに人気は下降。1969年には笹井が脱退、さらに担当ディレクターの意向によりムード歌謡路線へと移行していきます。1971年1月発売のラストシングル「ここより永遠に」で、全盛期のサウンドを最後に、1971年6月、ヴィレッジ・シンガーズは解散しました。

再結成と現在

31年の時を経て、島谷ひとみによる「亜麻色の髪の乙女」のリバイバルヒットをきっかけに、2002年にヴィレッジ・シンガーズは再結成。NHK「思い出のメロディー」に出演するなど、活動を再開しました。現在もライブ活動を精力的に行い、世代を超えて愛されるグループとして活躍を続けています。

エピソード：ニセモノの清水道夫

2002年、島谷ひとみによる「亜麻色の髪の乙女」のヒットに便乗し、「元・ヴィレッジ・シンガーズの清水道夫」を名乗る詐欺師が出現。カラオケ大会の審査員として出演し、歌唱まで披露する事件が発生しました。この事件は、ヴィレッジ・シンガーズの知名度と人気を改めて示すものとなりました。

音楽性と特徴

ヴィレッジ・シンガーズの音楽性は、初期のフォークロック調から、筒美京平などの作曲家との協業を経て、洗練されたポップスへと進化を遂げました。彼らの楽曲は、メロディーの美しさ、ハーモニーの豊かさ、そしてメンバーそれぞれの個性が光る演奏で、多くのリスナーを魅了しました。

また、他のGSとは一線を画す、知的で清潔感のあるイメージも、ヴィレッジ・シンガーズの大きな魅力でした。彼らは、多くの映画やテレビ番組にも出演し、幅広い世代から支持を得ました。

ヴィレッジ・シンガーズの歴史は、GSブームという時代の流れと、メンバーたちの努力、そして音楽への情熱が織りなす、ドラマチックな物語です。彼らの音楽は、これからも多くの人々の心に響き続けることでしょう。

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