ヴィンス・パパーリ

ヴィンス・パパーリ（Vince Papale、1946年2月9日 - ）は、ペンシルベニア州チェスター出身の元アメリカンフットボール選手です。彼のキャリアは、他の選手とは異なる異色の経歴を持っています。

パパーリは、1974年から2年間のみ存在したプロフットボールリーグ・WFLのフィラデルフィア・ベルで2シーズンプレーした後、NFLのフィラデルフィア・イーグルスで3シーズンプレーしました。30歳という年齢でNFL入りを果たしたのは異例であり、NFL史上最高齢のルーキーとして記録されています。

彼の人生は、2006年に公開された映画「インヴィンシブル 栄光へのタッチダウン」として映画化され、多くの人々に感動を与えました。

生い立ちとWFLでの活躍

イングランドとイタリアからの移民の両親の間に生まれたパパーリは、高校時代に陸上競技、バスケットボール、アメリカンフットボールに取り組みました。しかし、高校卒業時の身長が5フィート7インチ（約170cm）、体重が160ポンド（約73kg）と小柄だったため、フットボールでの奨学金のオファーを受けることができませんでした。

陸上競技選手として、聖ジョセフカレッジから奨学金のオファーを受けて進学し、陸上競技チームのキャプテンを務めました。卒業後、パパーリは高校で教師をしながら、セミプロのアメリカンフットボールリーグでプレーしていました。その時にWFLのトライアウトに合格し、ワイドレシーバーとしてフィラデルフィア・ベルに入団しました。

フィラデルフィア・ベルでは、1年目にレシーブで121ヤードを獲得しました。2年目は49ヤードのTDレシーブを1回記録しましたが、スペシャルチームで目覚ましい活躍を見せました。

NFL入りとイーグルスでの活躍

フィラデルフィア・ベルでの活躍がフィラデルフィア・イーグルスの目に留まり、ヘッドコーチのディック・ヴァーミールが行った個人練習に招待され、イーグルスに入団することになりました。

この時、パパーリは30歳であり、NFL史上最高齢のルーキーであるとともに、キッカー以外のポジションの選手で大学アメリカンフットボールの経験がない初めての選手となりました。

イーグルスではワイドレシーバーとスペシャルチームの選手としてプレーし、3年間所属しました。3年間のプロ生活で41試合に出場し、2ファンブルリカバー（内1回はヴァーミールヘッドコーチのNFL初勝利に貢献するプレー）と15ヤードのパスレシーブを1回記録しました。

1978年には、チームメイトからの投票でスペシャルチームキャプテンに選出され、同年、チームに対する数多くの献身的な行動からイーグルスのマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれました。

引退後

1979年に肩の怪我により引退し、引退後は8年間、TVやラジオでNFL関連のキャスターの仕事をした後、住宅ローン関係の銀行家になりました。

2001年には、大腸癌と診断されましたが、癌を克服し、早期発見の重要性を啓発するCMに出演するなど、癌の定期健診のスポークスマンを務めました。

パパーリの不屈の精神と努力は、多くの人々に勇気を与え続けています。

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