ヴェルター湖

ヴェルター湖

ヴェルター湖（Wörthersee）は、オーストリア南部のケルンテン州に位置する、東西に細長い湖です。周囲約50キロメートル、総面積は約19平方キロメートル、東西約16キロメートル、南北約1～1.5キロメートルと、比較的コンパクトな湖ですが、その美しい景観は多くの人々を魅了しています。

ケルンテン州の州都であるクラーゲンフルトの西約3キロメートルに位置し、湖の東岸は避暑地として賑わいを見せています。クラーゲンフルトは人口約8万5千人を擁する、商工業と文化の中心都市です。

音楽家ゆかりの地

ヴェルター湖は、著名な音楽家たちにとっても特別な場所でした。ヨハネス・ブラームスは、湖の北岸のペルチャッハで交響曲第2番を作曲しました。現在も残る家は、作曲の構想を練った場所として知られています。

また、湖の南岸、人里離れた場所にあるマイアーニックには、グスタフ・マーラーが交響曲第5番から第8番、『リュッケルトの詩による五つの歌曲集』や『亡き子をしのぶ歌』を作曲した小屋（マーラー・ヴィラ）が残されています。湖畔に佇むこの家は、森の中にひっそりと佇み、当時の面影を今に伝えています。

ラムサール条約登録地

2023年、ヴェルター湖の東岸約500メートルの湖岸と沈泥地帯が、ラムサール条約に登録されました。この地域は、ドナウブリークをはじめとする多くの鳥類にとって重要な生息地であり、カタツムリのVertigo moulinsianaやフラグシップ種のオオベニシジミなど、貴重な生物も生息しています。

さらに、水辺地帯はヒメキクガシラコウモリ、ヨーロッパチチブコウモリ、オオホオヒゲコウモリなど、数種類のコウモリにとって重要な採餌地となっています。多様な生物が生息するこの地域は、生物多様性の観点からも非常に重要な場所です。

ヴェルター湖は、その美しい景観だけでなく、音楽史における重要な場所であり、また貴重な動植物が生息する自然保護区としての側面も持っています。観光地としても人気がありますが、その自然を尊重し、保護していくことが大切です。

脚注

ラムサール条約登録地
ブラームスが交響曲第2番を作曲した場所
* マーラーが作曲小屋を建てた場所

外部リンク

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