ヴェローナ市街

ヴェローナ市街は、イタリア北東部に位置し、ユネスコの世界遺産に登録されている歴史的な都市です。アルプス山脈の麓に広がるこの街は、ヴェローナ県の県庁所在地であり、古くから交通の要衝として栄えてきました。ミラノ、ヴェネツィア、ローマを結ぶ交通の要所に位置したため、様々な国の支配下に置かれ、その歴史が街の景観に色濃く反映されています。特に13世紀から14世紀にかけて、デッラ・スカラ家の統治下で最盛期を迎えました。

ヴェローナは、シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』や『ヴェローナの二紳士』の舞台としても知られ、毎年2月から3月にかけて開催されるニョッキ祭も有名です。街には、古代ローマ時代から中世にかけての重要な建造物が数多く残されており、その歴史的な価値は非常に高いです。

主な構造物

円形闘技場（アレーナ・ディ・ヴェローナ）

紀元前1世紀初めに建設されたアレーナ・ディ・ヴェローナは、ローマのコロッセオ、ナポリの円形劇場に次ぐ、イタリア国内で3番目の大きさを誇る円形闘技場です。収容人数は2万5000人で、保存状態が非常に良く、毎年6月から8月にはオペラ公演が行われます。その規模と演奏水準はヨーロッパでも屈指であり、世界中から音楽ファンが訪れます。

エルベ広場

エルベ広場は、古代ローマ時代から続く歴史的な広場です。その名前の通り、かつては野菜市場が開かれていました。広場には、ヴェネツィア共和国の象徴であるサンマルコの円柱や、マドンナの噴水があり、周囲にはバロック様式のマッフェィ宮殿が建っています。

シニョーリ広場

シニョーリ広場は、ローマ帝国時代には中央広場として利用されていた場所です。広場の中央にはダンテの像が立っており、歴史的な雰囲気を醸し出しています。

ランベルティの塔

ランベルティの塔は、シニョーリ広場のそばに建つ高さ84mの塔で、街のランドマークとなっています。

ヴェッキオ城

14世紀後半にカングランデ2世によって建設されたヴェッキオ城は、スカラ家の居城として使われました。赤いレンガで造られた城壁や6つの塔、跳ね橋が残っており、中世の城の雰囲気を今に伝えています。現在は市立博物館として一般公開されており、当時の歴史を知ることができます。城からアディジェ川にかかるスカリジェロ橋も、美しい景観を作り出しています。この橋は、白い石と赤いレンガで作られた三重構造で、第二次世界大戦中に破壊されましたが、戦後に復元されました。

スカラ家の廟

スカラ家の廟は、スカラ家の教会であるサンタマリア・アンティカ教会の側にあります。スカラ家の紋章で飾られたゴシック様式の墓廟は、4角錐の屋根の上に騎士像が飾られており、その美しさは見事です。

ジュリエットの家

ジュリエットの家は、『ロミオとジュリエット』に登場するジュリエットのモデルとなったカプレーティ家の娘の家とされています。映画や舞台で有名なバルコニーがあり、訪れる多くの観光客がそのロマンチックな雰囲気を楽しんでいます。前庭にはジュリエットの像があり、館内には当時の家具や日用品が展示されています。なお、「ロミオの家」も残っていますが、個人所有のため非公開です。

登録基準

ヴェローナ市街は、以下の世界遺産登録基準を満たし、登録されました。

(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。

アクセス

ヴェローナはヴェネツィアの西約100kmに位置しています。ヴェネツィアやミラノからは鉄道で約1時間半から2時間程度でアクセス可能です。

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