ヴォロネジ航空機製造合同

ヴォロネジ航空機製造合同（VASO）: ロシア航空産業の礎

ヴォロネジ航空機製造合同（VASO、英語: Voronezh Aircraft Production Association）は、ロシアを代表する航空機製造企業の一つです。1932年、ヴォロネジで第18ヴォロネジ航空工場として設立された長い歴史を持ち、ソ連時代の航空機産業発展に大きく貢献しました。現在もロシア連邦の航空機製造において重要な役割を担っています。

輝かしい歴史と多様な生産機種

VASOは、第二次世界大戦前後から数々の航空機の生産に携わってきました。初期にはANT-25やTB-3といった機体から、第二次世界大戦で活躍したIl-2攻撃機など、数多くの軍用機を製造しました。戦後には、Tu-16爆撃機、Tu-28戦闘機、超音速旅客機Tu-144など、時代を代表する機種の生産にも関わってきました。さらに、Il-28爆撃機、Il-86、Il-96といった旅客機、そして近年のAn-148リージョナルジェットなど、幅広い機種を製造してきた実績があります。

近代化と生産拡大への取り組み

2007年にはロシア国営の統一航空機製造会社（UAC）傘下に入り、その後、大規模な近代化計画が進められました。2009年には、UACから50億ルーブル（当時約1億6200万USドル）もの巨額投資が発表され、設備の更新と生産能力の向上に充てられました。An-148の生産拡大も計画され、2009年には5機、2010年には18機、2011年には36機を生産し、2013年以降は年間50機の生産を目指していました。

また、2008年から2015年にかけては、エアバスA320やA380の部品生産にも参入するなど、グローバルな航空機産業サプライチェーンの一翼を担う存在となりました。

新規開発と経済状況

1993年には、旧ソ連時代の機体を改良したワイドボディ旅客機Il-96-400Mや輸送機Il-112Vの開発に着手しました。しかし、これらの開発は、VASOの財務状況を鑑みると、容易ではなかったようです。ワイドボディ旅客機1機の平均価格を下回る年間収益は、経営上の課題を示唆しています。

複雑な経営構造

VASOの経営構造は、複数の株主によって構成されています。JSC “Ilyushin Interstate Aircraft-Building Company”が30.0%、JSC「イリューシン・アビエーション・コンプレックス」が27.1%、そして個人株主が42.9%の株式を保有しています。この複雑な資本構成も、企業経営における課題の一つと言えるでしょう。

未来への展望

長きにわたる歴史と豊富な経験を持つVASOですが、現代の航空機産業における競争激化や経済状況の変化に対応していくためには、更なる技術革新と経営効率の向上が求められます。ロシア航空産業におけるその役割、そして将来の展望に注目が集まります。

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