ヴォワザン

ヴォワザン航空機の歴史

ヴォワザン航空機（Aéroplanes Voisin）は、フランスの初期航空機メーカーとして1906年にシャルル・ヴォワザンとガブリエル・ヴォワザンの兄弟によって設立されました。会社は当初、軍用機や民間機を製作し、特に推進式航空機の分野で多くの革新をもたらしました。後に自動車メーカーとしても知られるようになるヴォワザンは、1939年まで活動を続けましたが、その後、自動車業界から撤退することになりました。

会社設立と初期の機体

ガブリエル・ヴォワザンがパリ近郊のBillancourtで設立した「ヴォワザン兄弟飛行機会社」は、商業民間航空機の先駆けとも言えます。初めはブレリオ式の単葉機を製作しましたが、期待された成果には繋がらなかったのです。それでも、1907年にはレオン・ドラグランジュのために推進式航空機であるドラグランジュ No. 1を製作し、これがヴォワザン機の特徴的な設計となる出発点となりました。その後、ドラグランジュ No. 2は、ヨーロッパ製の航空機として初めて1キロメートル以上の飛行を達成します。

レオン・ドラグランジュに加えて、航空のパイオニアであるアンリ・ファルマンもヴォワザン機での記録飛行を行い、彼らの影響力は初期の航空技術革新に大きな役割を果たしました。1910年には、飛行艇Canard Voisinを開発し、これが成功を収め、1912年までに約80機が製造されました。

第一次世界大戦とヴォワザン機

残念ながら、1912年にシャルル・ヴォワザンが交通事故で亡くなりましたが、兄弟企業はその後も活動を続けました。第一次世界大戦が勃発すると、ヴォワザンの航空機はフランス軍での需要が急増し、1912年に開発されたType L（ヴォアザン I）が70機生産され、さらにロシアでも少数が製造されるなど、国際的な展開を見せます。その後継機のType LA（ヴォアザン III）も多数が製造され、戦争の影響で防衛機能向上のために、改良型のType LB（ヴォアザン IV）やType LBS（ヴォアザン V）が続々と誕生しました。

1916年には大型化されたType LC（ヴォアザン VII）が開発されましたが、これは期待された成果を出せずに終わり、結果的に100機ほどの生産にとどまりました。この時期のフランスでは、航空機製造会社が急増し、Voisin-Lafresnaye社やVoisin-Lefebvre社が設立されるなど、航空産業の成長が著しい時期でもありました。

続いて1916年から1917年にかけては、ヴォアザン VIII（Type LAP、Type LBP）がフランス陸軍の主要な夜間爆撃機として多くの機体が製造され、大戦を通じて活躍しました。しかし、偵察機として製造されたヴォアザン IX（Type LC）は性能に問題があり、信頼性の高いエンジンを搭載したヴォアザン X（Type LAR、Type LBR）は、その登場が遅くなりつつも、終戦までに900機が製造されました。

最後の設計案であるヴォアザン XIIは、戦争の終結に伴い生産されることはありませんでした。1918年に、ガブリエル・ヴォワザンは航空業務から撤退し、自動車工業へのシフトを決断しました。これにより、ヴォワザン航空機の歴史は一旦幕を閉じることになりますが、彼らの功績は現在でも航空史に確かな影響を残しています。

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