ヴラディーミル・ランデ

ヴラディーミル・ボリソヴィチ・ランデは、1962年2月3日にソビエト連邦のレニングラードで誕生した音楽家です。オーボエ奏者、そして指揮者として、国際的な舞台で活躍しています。

彼の音楽キャリアは、故郷レニングラードで始まりました。レニングラード音楽院に入学し、ピアノとオーボエの二つの楽器で専門的な学びを深め、1986年に卒業証書を手にしました。音楽院在学中である1984年から1989年にかけての期間、彼は権威あるレニングラード・フィルハーモニー管弦楽団の一員として、オーボエ奏者として演奏活動に従事し、キャリアの基礎を築きました。

1989年、ランデは活躍の場をアメリカ合衆国に移します。渡米後、まずはボルティモア歌劇場のオーボエ奏者としてのポストを得ました。これを足がかりに、アメリカ各地の様々なオーケストラと共演する機会を重ね、ソリストとしても、あるいはオーケストラのメンバーとしても経験を積んでいきました。また、彼は室内楽の分野にも情熱を注ぎました。1990年にはギタリストのウィリアム・フィスリーと共に「ダモーレ・デュオ」を結成。さらに2003年には、ピアニストのイリーナ・カプランとバスーニストのブライアン・ヤングと共に「プーランク・トリオ」を設立するなど、小編成アンサンブルでの活動も積極的に展開しました。

彼のキャリアはオーボエ奏者にとどまらず、後に指揮活動へと大きく広がっていきます。1996年にはニューヨークで開催されたバカナリア音楽祭において、室内管弦楽団の首席客演指揮者という重要なポストを務めました。2004年には、サンクトペテルブルクで催された由緒ある白夜音楽祭のオープニング・コンサートで指揮台に立つ栄誉を得ました。2005年からは、アメリカのジョン・ホプキンス大学室内管弦楽団の音楽監督に就任し、若手音楽家の指導にもあたりました。その後も、2006年にはボルティモア歌劇場でタクトを振り、2008年にはタルサ交響楽団やワシントン・ナショナル・ギャラリー管弦楽団といったアメリカ国内の著名なオーケストラを指揮しました。

さらに、2008年から2017年までの約10年間、彼は故国ロシアの主要オーケストラの一つであるサンクトペテルブルク国立アカデミー交響楽団の首席客演指揮者として活躍しました。この期間、同楽団とは数多くの演奏会を行うとともに、活発なレコーディング活動を展開し、その芸術性を広く世界に知らしめました。2009年にはワシントンで行われた現代アメリカ音楽祭に登場し、現代作品の紹介にも貢献しました。2010年から2011年にかけては、ロシアのドネツク・バレエによるアメリカおよびヨーロッパへのツアーにおいて、指揮者として帯同しました。

そして2015年からは、再びロシアの重要な音楽ポストに就任しています。シベリア地方の主要都市であるクラスノヤルスクに拠点を置くクラスノヤルスク・アカデミー交響楽団の首席指揮者兼芸術監督を務め、同楽団の芸術水準向上と地域音楽文化の振興に力を尽くしています。

ヴラディーミル・ボリソヴィチ・ランデは、レニングラードで確立したオーボエ奏者としての確固たる技術を基盤としながら、アメリカへと活動の場を広げ、さらには指揮者としても目覚ましいキャリアを築き上げました。室内楽からオーケストラ、オペラ、バレエに至るまで幅広いジャンルを手がけ、ロシアとアメリカを中心に世界各地でその音楽的才能を発揮し続ける、現代を代表する音楽家の一人と言えるでしょう。

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