サンクトペテルブルク国立アカデミー交響楽団

サンクトペテルブルク国立アカデミー交響楽団（ロシア語: Санкт-Петербургский государственный академический симфонический оркестр、英語: Saint Petersburg State Academic Symphony Orchestra）は、ロシアの歴史ある都市サンクトペテルブルクに本拠を置く、国内有数のオーケストラです。略称は「СПб ГАСО」として知られています。

設立と初期の活動

この楽団は、かつてレニングラードと呼ばれたこの地で、著名な指揮者ニコライ・ラビノヴィチとカール・エリアスベルクによって1967年に設立されました。設立当初は「レニングラード古楽・現代音楽室内管弦楽団」という名称で、その名の通り、多様な時代の、しかし世間にはあまり知られていない音楽作品を紹介することを主な活動目的としていました。国立の組織ではありませんでしたが、ソビエト連邦作曲家同盟のレニングラード支部とは緊密に連携し、活動を展開していました。設立に際しては、ラビノヴィチとエリアスベルクに加え、エドゥアルド・グリクーロフも指揮者陣に名を連ねていました。

楽団の発展と評価

初代首席指揮者にはニコライ・ラビノヴィチが就任し、1972年に亡くなるまで楽団の基礎を築き上げました。彼の後を受け、1974年にエドゥアルド・セローフが首席指揮者に就任します。セローフ氏の指導のもと、楽団のアンサンブル能力は飛躍的に向上し、その質の高さが国内外で広く認められるようになりました。これにより、楽団はソビエト連邦国内だけでなく、世界各国からも招聘される機会が増加しました。この時期には、ソビエトの主要なレコードレーベルであるメロディアへの録音活動も非常に活発に行われ、楽団の存在感は一層高まりました。

規模拡大と名称変更の歴史

楽団の評価が高まる中、1985年には室内オーケストラから交響楽団へとその規模を拡大することが決定され、同時に国立のオーケストラとしての地位を獲得しました。そして翌1986年より、「レニングラード国立交響楽団」と改称して新たな活動を開始しました。その後、都市名が旧称のサンクトペテルブルクに戻されたことに伴い、「サンクトペテルブルク国立交響楽団」と名称を変更しました。さらに、楽団の功績が認められ「アカデミー」の称号が付与され、現在の「サンクトペテルブルク国立アカデミー交響楽団」という名称となりました。

1988年からは、サンクトペテルブルク市内にある歴史的建造物、ベロセルスキー＝ベロゼルスキー宮殿のコンサートホールを主要な活動拠点としています。

歴代首席指揮者

楽団の発展を牽引してきた主な首席指揮者は以下の通りです。

ニコライ・ラビノヴィチ (1967年 - 1972年)
エドゥアルド・セローフ (1974年 - 1985年)
ラヴィル・マルティノフ (1986年 - 2004年)
ヴァシリー・ペトレンコ (2004年 - 2007年)
アレクサンドル・ティトフ (2007年 - 2013年)
ペーテル・フェラネツ (2015年 - 2016年)
アレクサンドル・ティトフ (2017年 - 現在)

主な録音活動

楽団はこれまでに数多くの録音を残しており、代表的なものとして以下が挙げられます。

メロディア録音（セローフ指揮 レニングラード古楽・現代音楽室内管弦楽団時代）:
ヒンデミット作品集
モーツァルト：ピアノ協奏曲第9番、第25番
ボリス・チャイコフスキー作品集
NORTHERN FLOWERS録音（ティトフ指揮）:
「戦時の音楽」シリーズ（第二次世界大戦中に作曲された交響曲から戦時歌謡まで、幅広い作品を網羅）
ナクソス（ヴラディーミル・ランデ指揮）:
* ヴァインベルク交響曲集

サンクトペテルブルク国立アカデミー交響楽団は、その設立以来、ロシアの音楽文化において重要な役割を果たし続けています。設立当初の「知られざる作品の発掘」という精神を受け継ぎつつ、様々な時代の作品をレパートリーに取り入れ、質の高い演奏を国内外に届けています。特に、ロシア近代・現代作品の演奏や録音において評価が高く、その活動は多くの音楽愛好家から注目されています。

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