ヴワディスワフ・オポルチク

ヴワディスワフ・オポルチク：野望と波乱の生涯

ヴワディスワフ・オポルチク（1332年頃 - 1401年5月8日）は、中世ポーランドの政治家であり、オポーレ公としてその名を知られています。彼は単に領地を統治するだけでなく、ハンガリー宮中伯（副王）、ハールィチ・ヴォルィーニ総督など、様々な要職を歴任し、当時のヨーロッパ政治に深く関与しました。

ハンガリーでの台頭

ヴワディスワフは、オポーレ公ボルコ2世の長男として生まれました。若い頃から政治的な才能を発揮し、1360年代にはハンガリー王ラヨシュ1世の宮廷で重要な役割を担うようになります。1367年には、ハンガリー王国において国王に次ぐ地位である宮中伯に任命され、広範な司法権を掌握し、国政に深く関与しました。彼は宮中の諸事を司る委員会を創設するなど、行政手腕も発揮しましたが、その一方で、莫大な収入と出費を伴う地位でもありました。

1370年にポーランド王カジミェシュ3世が死去すると、ヴワディスワフはラヨシュ1世のポーランド王位獲得に尽力し、その功績によりヴィエルニとチェンストホヴァを与えられました。しかし、1371年のボヘミア遠征が原因で、神聖ローマ皇帝カール4世の要求により、1372年に宮中伯を解任されます。

地方総督、そして再び副王へ

宮中伯を解任されたヴワディスワフは、ハールィチ・ヴォルィーニ総督に任命され、地域の経済発展に貢献しました。しかし、東方正教会への接近がカトリック教徒の貴族たちの反発を招きます。1378年には、ポーランド宮中伯に転任しますが、王位継承を巡る貴族の反抗に直面し、再び解任されることとなります。

ドブジン地方の代官、領土拡大、そしてヨガイラとの衝突

失脚後、ヴワディスワフはドブジン地方の代官となり、ドイツ騎士団との友好関係を築きます。また、ヤスナ・グラ修道院を寄進し、「チェンストホヴァの黒い聖母」を安置したと伝えられています。1382年には、親族の死によりグルヌィ・シロンスク（高地シロンスク）における影響力を強め、領土を拡大しました。

1382年、ラヨシュ1世が崩御すると、ヴワディスワフはポーランド王位の後継候補に名乗りを上げますが、貴族の支持を得られず、代わりにヤドヴィガが女王として即位します。その後、リトアニア大公ヨガイラ（ヴワディスワフ2世ヤギェウォ）が王に選ばれます。ヴワディスワフは当初ヨガイラを支持していましたが、1388年にブィドゴシュチュの支配権を剥奪されたことから、クーデターを企てて失敗。ヨガイラに降伏し、王位を要求しないことを誓約させられました。

ドイツ騎士団との連携、そして失脚

1391年、ヴワディスワフがズウォトゥフをドイツ騎士団に譲渡する約束をしたことが発覚し、ヨガイラはヴワディスワフがポーランド王国内に持つ領土を全て取り上げました。1396年には、ドイツ騎士団を唆してポーランド王国を攻撃させようとしましたが失敗し、甥達にオポーレ公国の統治を委ねざるを得なくなりました。

失意の晩年

野望が打ち砕かれたヴワディスワフは、1401年にオポーレで死去し、同市のフランシスコ会修道院に埋葬されました。息子がいなかったため、遺領は甥達が相続しました。ヴワディスワフ・オポルチクは、その生涯を通じて、政治的な野心と激しい葛藤を経験し、中世ヨーロッパの歴史にその名を刻んだ人物として記憶されています。

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