ヴ・ニャット・タン

ヴ・ニャット・タン（Vũ Nhật Tân、1970年8月8日 - 2020年7月21日）は、ベトナムを代表する作曲家の一人です。ハノイに生まれ、ハノイ国立音楽院でピアノをニャット・アンに、作曲と音楽学をトラン・トロン・フン教授に師事し、学位を取得しました。その後、電子音楽をクラレンス・バーロウに、現代音楽作曲をヨハネス・フリッチュに師事するため、ドイツ学術交流会（DAAD）の奨学金を得てケルン音楽大学に留学しました。さらに、カリフォルニア大学サンディエゴ校では、チン・リー・ウン（洪靖年）の指導を受けました。

2002年には、アジアン・カルチュラル・カウンシル（ニューヨーク）の奨学金を得て、アメリカで現代音楽と民族音楽の研究に励みました。ヴは、ベトナム作曲家協会から数々の賞を受賞しており、その作品はベトナム国内のみならず、アメリカ、オーストラリア、カンボジア、中国、フランス、ドイツ、モンゴル、スイスなど、世界各地で演奏されています。また、彼はピアニスト、ベトナムの竹笛奏者、即興演奏家としても国際的に活動しました。1995年から2020年まで、ハノイ国立音楽院で教鞭を執り、ベトナムとオーストラリアでは、ベトナム音楽に関する客員講師も務めました。

ヴの作品は、管弦楽、室内楽、ピアノ曲に加え、電子音楽やマルチメディアのための作品、ベトナムの伝統楽器のための作品など多岐にわたります。2007年には、オーケストラ・ニッポニカの委嘱により、弦楽四重奏のための「雨季」（Mùa mưa = Rainy season）がハノイで初演されました。

家族によると、2020年の旧正月に直腸癌が発見され、同年7月21日、ハノイの病院で静かに息を引き取りました。

受賞歴

1992年: 民族楽器作曲コンクール（ハノイ）「ベトナム民族楽器のための "Ensemble"」第3位
1995年: サン＝ジェルマン＝アン＝レー・コンクール（フランス）「Ký Uc = Memory」第1位
1998年: ベトナム作曲家協会賞 「民族楽器グループのための"Ngũ Đôi Đăng Dân = Interplay of Five Instruments"」
2000年: ベトナム作曲家協会賞 オーケストラのための「Phác Thao = Outline」
2001年: ベトナム作曲家協会賞 室内アンサンブルのための「Nhip Đon Nhip Kep = Simple Metre, Compound Metre」
2003年: ベトナム作曲家協会賞 室内アンサンブルのための「Áo Đon Áo Kep = Four-Part Vietnamese Dress」

ヴ・ニャット・タンは、ベトナム音楽界において重要な役割を果たした作曲家であり、その作品は今後も長く愛され続けることでしょう。

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