ドイツ学術交流会

ドイツ学術交流会(DAAD)の概要

ドイツ学術交流会(DAAD)は、ドイツ連邦共和国の大学が共同で設立した機関で、国際的な学術交流を促進する役割を担っています。大学間の協定締結や研究者・学生の交流プログラムなどを幅広く展開し、世界中の研究者、大学教員、芸術家、学生を対象とした多様なプログラムを提供しています。

DAADは、ドイツ連邦政府からの公的資金を基盤として運営されており、外務省、教育・科学・研究技術省、経済協力省などから拠出金を受けています。本部はドイツのボンにあり、世界各地、特に主要都市に在外事務所を設置し、グローバルなネットワークを構築しています。2020年時点では、カイロ、ブリュッセル、リオデジャネイロ、北京、パリ、ニューデリー、ジャカルタ、東京、アンマン、ナイロビ、ボゴタ、メキシコシティ、ワルシャワ、モスクワ、チュニス、ニューヨーク、ロンドン、ハノイの18都市に事務所を置いています。さらに、情報センターを世界各地に設置し、情報提供活動も行っています。

東京事務所の役割

DAAD東京事務所は、1978年4月に開設され、日独間の大学間における学術交流や日本企業との協力関係強化に重点を置いて活動しています。歴代の所長をはじめ、スタッフは日本の大学や研究機関と密接に連携し、様々な事業を展開しています。主な活動としては、ドイツ留学に関する情報の提供、DAAD奨学金プログラムの募集・選考、DAAD奨学生のサポート、ドイツ人教員の招聘支援などが挙げられます。また、元DAAD奨学生のネットワークである「DAAD友の会」も活発に活動しており、日独間の学術交流を促進する上で重要な役割を果たしています。

DAAD奨学生と彼らの業績

DAADは長年にわたり、多くの日本人研究者や学生のドイツ留学を支援してきました。様々な分野で活躍する日本人元DAAD奨学生は、その後の日本の社会や文化の発展に大きく貢献しています。

以下に、分野別にいくつかの例を示します。これはほんの一例であり、DAAD奨学金によってドイツで研鑽を積んだ日本人の数は非常に多く、多様な分野で活躍しています。

歴史学: 栗生澤猛夫氏（ベルリン）など
教育学: 潮木守一氏（カッセル）など
美術: 東山魁夷氏（ベルリン）、佐藤一郎氏（ハンブルク）、赤木範陸氏（ミュンヘン）など
音楽: 篠原眞氏（ベルリン）、平松英子氏（ミュンヘン）、小杉武久氏（ベルリン）、鈴木昭男氏（ベルリン）、岡山潔氏（ハンブルク）、樋口隆一氏（テュービンゲン）、日比啓子氏（シュトゥットガルト）など
神学: 大貫隆氏（ヴュルツブルク、ミュンヘン）など
法学: 井田良氏（エアランゲン）、石川明氏（ミュンヘン）、三上威彦氏（慶應義塾大学名誉教授）（ザールブリュッケン）など
医学: 吉田久氏（東京医科歯科大学元学長）（ボン）、木村敏氏（ミュンヘン、ハイデルベルク）など
天文学: 小平桂一氏（キール）など
文学: 内垣啓一氏（ハンブルク）、濱川祥枝氏（ミュンヘン）、生野幸吉氏（ミュンヘン）、岩淵達治氏（ミュンヘン）、小塩節氏（マールブルク）、平尾浩三氏（ハンブルク）、柴田翔氏（フランクフルト）、辻瑆氏、橋本孝氏（マールブルク、フライブルク、ミュンスター）、相澤啓一氏（ケルン、ミュンヘン）など
語学: 早川東三氏（ボン）、岩﨑英二郎氏（ボン）など
哲学: 三島憲一氏（テュービンゲン）など
社会学: 森川剛光氏（慶應義塾大学教授）（カッセル）など
体育学: 瀧澤康二氏（日本体育大学名誉教授）（ケルン）など
鉄道工学: 仲津英治氏（元JR西日本NPO法人エコネット近畿理事長）（ブラウンシュヴァイク）など

これらの元奨学生たちは、それぞれの分野で活躍し、日独両国の学術交流発展に貢献しています。DAADの活動は、これからも国際的な学術交流を促進し、世界を繋いでいく上で重要な役割を担い続けるでしょう。

参考文献

Dierk Stuckenschmidt (Hrsg.), DAAD: 50 Jahre - 30 Jahre Austausch mit Japan. Erinnerungen japanischer Wissenschaftler und Künstler an ihre Studienzeit in Deutschland. ドイツ学術交流会（DAAD）Tokyo 1985.
Deutscher Akademischer Austauschdienst, Außenstelle Tokyo (Hrsg.), Echos（エヒョーズ）. 30 Jahre DAAD Außenstelle Tokyo o.J. (2008)
ペーター・ヒンターエーダー編『Deutschland ドイッチュラント』 NO.3 6/95, Societäts-Verlag 1995, S. 32-33.
国立国会図書館・キーワード「ドイツ学術交流会」により検索される諸文献

関連項目

フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞

外部リンク

DAAD東京事務所
* DAAD本部

もう一度検索