一〇〇式擲弾器

一〇〇式擲弾器の概要

一〇〇式擲弾器は、日本陸軍が1940年に制式化した兵器で、主に手榴弾を放射するために設計されました。この兵器は、従来の榴弾や対戦車能力に特化した弾を発射するようには作られておらず、取り付けても小銃の機能や精度には影響を与えないという特長を持っています。

開発背景

日本陸軍はヨーロッパの戦闘において擲弾器の効果を認識し、これに類似した兵器の開発が求められていました。これまで、日本陸軍は村田銃を改造した擲弾銃を使用していましたが、その大型で扱いにくい榴弾に課題がありました。このため、昭和14年2月に陸軍技術本部による新たな研究が始まり、5月には試作品が完成しました。実弾と空包を使用する二種類のモデルが開発されましたが、空包の使用は弾薬輸送の都合から見送られ、実包使用に絞られました。11月には実用試験が行われ、適用が認められました。

その後の改良

その後も改良が続けられ、昭和16年および17年にかけて口径を見直す改修が行われました。しかし、本擲弾器は対戦車能力を持たなかったため、後継のタ弾使用擲弾器との比較で実戦での優位性を失っていきました。

構造と仕様

一〇〇式擲弾器はカップ状の形状をしており、小銃の銃口に取付器を介して取り付けられます。この構造により、発射された小銃弾が通過できるパイプと、手榴弾を収容する筒部が一体となっています。射撃の際のガスは取付器内のガス孔から導入され、カップ状の筒部に送られ、これによって手榴弾が放射されます。

• - 総重量: 830g
• - 全長: 250mm
• - 筒内径: 45.2mm
• - 筒肉厚: 1.5mm
• - 使用する小銃: 三八式歩兵銃、三八式騎銃、九九式小銃、九九式短小銃

発射性能

擲弾器を取り付けてから、九九式手榴弾を筒の前端に装填し、射角を適宜調整します。ガス漏孔を全閉にした状態で射角30度とした場合、射程は110mに達します。射程内での射撃には射角を下げ、近距離向けにはガス漏れ孔を開いて発射します。これは、手榴弾が過剰に転がるのを防ぐためです。射角30度以上の場合、手榴弾が空中で炸裂し、地上目標には効果がなくなってしまいます。

参考文献と関連項目

• - 佐山二郎著『小銃 拳銃 機関銃入門』光人社（光人社NF文庫）、2008年。ISBN 978-4-7698-2284-4
• - 関連項目には、九一式擲弾器、二式擲弾器、三式擲弾器、大日本帝国陸軍の兵器一覧などがあります。

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