一〇式艦上戦闘機

一〇式艦上戦闘機について

一〇式艦上戦闘機は、日本海軍が初めて国産化した艦上戦闘機であり、航空母艦「鳳翔」の建造と同時に開発が進められました。この機体の開発は、1940年代の航空戦力を強化するため、日本の主力航空機の純国産化を目指す日本海軍の意向に基づいて始まりました。製造は三菱内燃機製造会社が担当し、設計はイギリスのソッピース社から招聘されたハーバート・スミス技師の指導の下で行われました。

1921年2月より開発が始まり、同年9月には試作1号機が完成し、10月には初飛行を果たしました。この艦上戦闘機は複葉単座機であり、木製骨組に羽布張りという構造を採用していました。この設計により、当時の戦闘機としては優れた性能を発揮し、1923年11月には日本海軍において正式に採用されました。

一〇式艦上戦闘機は、イスパノ・スイザ製の「HS-8F」エンジンを基に三菱によって国産化された「ヒ式三〇〇馬力発動機」を搭載しており、このエンジンは他の航空機にも広く使われることになりました。そして、この機体は様々なサブタイプが存在しています。「一〇式一号艦上戦闘機」と「一〇式二号艦上戦闘機」が例として挙げられますが、両者の主な違いは発動機冷却器の配置によります。一号艦戦では機首に冷却器が設置され、二号艦戦では胴体下にランブラン式に変更されていました。

ただし、海軍の制式名称には「一〇式艦上戦闘機一型」「一〇式艦上戦闘機二型」という明確な区分があり、通常の艦上戦闘機型はすべて一型として扱われました。このような制式の定義により、モデルの違いはあっても、実際上は一括して管理されることとなりました。

さらに、機首の形状や操縦席の配置、主翼形状の変更を施したバリエーションも存在します。例えば、機首に蜂巣式冷却器を装備した系列、視界改善を狙ったランブラン式冷却器を搭載した系列、さらには揮発器を下方に配置したシリーズなどがあり、各機体の視界や運用性に配慮がなされていました。

一〇式艦上戦闘機は、1928年まで生産が続けられ、最終的には128機が製造されました。この機体は、三式艦上戦闘機が配備される1930年頃まで第一線で活躍し、その後は練習機や民間向け機体として再利用されました。

諸元

• - 型式: 単発・複葉
• - 乗員: 1名
• - 全長: 6.90 m
• - 全幅: 8.50 m
• - 全高: 3.132 m
• - 自重: 940 kg
• - 全備重量: 1280 kg
• - 動力: ヒ式三〇〇馬力発動機（水冷V型8気筒、公称出力：300 hp）×1
• - 最大速度: 215 km/h
• - 航続時間: 2.5時間
• - 武装: 7.7mm機銃×2

このように、一〇式艦上戦闘機は日本の航空史において重要な役割を果たした機体であり、その技術的特長や運用について詳しく知ることができます。

もう一度検索