一リン化カルシウム

一リン化カルシウム：性質と反応性

一リン化カルシウム（化学式：CaP）は、リンとカルシウムからなる無機化合物です。しばしば「リン化カルシウム」と呼ばれることがありますが、これは通常、化学式Ca3P2で表される二リン化三カルシウムを指します。両者は明確に異なる物質であり、一リン化カルシウムは黒色であるのに対し、二リン化三カルシウムは赤褐色をしています。

一リン化カルシウムは、600℃に加熱されると分解し、二リン化三カルシウムと少量の白リン（P4）を生成します。この分解反応は以下のように表すことができます。

3CaP → Ca3P2 + 1/4 P4

構造と特性

一[リン化カルシウム]]の結晶構造は、[[過酸化ナトリウム]と非常に類似しています。(Ca2+)2P24−、あるいは簡略化してCa2P2と表現できるイオン性化合物です。この構造において、2つのリン化物イオン(P24−)は負電荷を帯びており、プロトンと容易に反応します。

[水]]と反応する加水分解反応では、[[ジホスフィン]という気体を発生します。この反応は、次のように表すことができます。

Ca2P2 + 4H2O → 2Ca(OH)2 + P2H4

生成する[ジホスフィン]]は自然発火性を持つため、一リン化カルシウムは空気中では取り扱えません。この加水分解反応は、炭化カルシウム]の[[水による分解反応と類似点が見られます。そのため、一リン化カルシウムは空気や湿気との接触を厳しく避ける必要があります。

取り扱い上の注意

一リン化カルシウムは、空気中の酸素や水分と反応して自然発火性のジホスフィンを生成するため、取り扱いには細心の注意が必要です。不活性ガス雰囲気下で操作し、水分や空気の混入を防ぐ必要があります。また、反応によって発生するジホスフィンは毒性も持つため、適切な換気設備を備えた環境で取り扱うべきです。

関連物質

一[リン化カルシウム]]と関連性の高い物質としては、二リン化三カルシウム]や窒化カルシウム(Ca3N2)などがあります。これらの物質も同様に、空気や[[水分との反応性に注意が必要です。

まとめ

一リン化カルシウムは、その独特の構造と反応性を持つ無機化合物です。加水分解により自然発火性のジホスフィンを生成するため、取り扱いには十分な注意と安全対策が必要です。研究用途などでは、不活性ガス雰囲気下での精密な取り扱いが不可欠となります。

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