一六戦争

一六戦争について

一六戦争とは、自由民主党の内部で発生した政治家同士の対立を表す俗称です。この言葉は、対立する政治家たちの名前に数字の「一」と「六」が含まれていることから名付けられました。一六戦争には二つの主要な確執があり、特に宮澤喜一と田中六助、そして小沢一郎と梶山静六の争いが注目されています。

宮澤喜一と田中六助の確執

この一六戦争の最初の局面は、自由民主党の派閥である宏池会内における宮澤喜一と田中六助の対立にさかのぼります。宮澤は早くから優秀な官僚として期待され、1951年のサンフランシスコ講和会議に全権随員として参加した経験を持ちます。一方、田中は1970年の「大平クーデター」でその存在感を示し、宏池会の内部で急速に勢力を拡大しました。彼は大平内閣で内閣官房長官を務め、「おしゃべり六助」と称されるほどの発言力を持っていました。

二人は宏池会の中で対照的なスタイルを持ち、人脈や支持基盤も異なりました。宮澤は前尾繁三郎派を支持し、田中は大平系を重視していました。また、宮澤は福田赳夫に好意を持たれたのに対し、田中は田中角栄と中曽根康弘との関係において調整役を果たしていました。

1980年には大平が急死し、宮澤は総裁候補としての期待が高まりました。しかし田中は鈴木善幸を支援し、この鈴木内閣の成立を実現することで自身の地位を確立しました。その後、二人の対立はますます深まり、宏池会の後継者を巡る競争が始まりました。1982年には田中が政調会長に就任しましたが、病気により1985年に亡くなり、宮澤が宏池会会長に就任することで一六戦争は一旦終息します。

小沢一郎と梶山静六の争い

一六戦争の第二の局面は、小沢一郎と梶山静六の間の対立です。両者は1969年の第32回衆院選で初当選し、田中派に所属していました。小沢は若くして世襲で当選した新進気鋭の議員であり、一方の梶山は経験豊富で年齢も上でした。このため、両者の間には微妙なライバル関係が存在しました。

1992年、東京佐川急便事件に関連して政治的な立場が分かれ、小沢は徹底抗戦を叫ぶ一方で、梶山は早期の問題解決を主張しました。これにより、竹下派内で小沢と梶山の対立が顕著になり、党の分裂が進んでいきました。

その後、1994年には小沢が新進党を立ち上げることとなり、梶山との関係もさらに複雑化しました。1998年には梶山が自由民主党の総裁選に出馬し善戦したものの、小渕に敗北しました。小渕は後に小沢との連立を実現させることとなります。

また、2000年に小沢が連立を離脱した翌日、小渕が脳梗塞で倒れ、その後に梶山も翌月に亡くなることにより、一六戦争は完全に終息を迎えました。

このように、一六戦争は日本の政治史における重要な出来事であり、自由民主党内での権力闘争の一端を示すものとなりました。

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