一式中戦車

一式中戦車 チヘ

一式中戦車チヘ（いちしきちゅうせんしゃ）は、第二次世界大戦期間中の大日本帝国陸軍によって開発された中戦車です。この戦車は、先に導入された九七式中戦車チハを基にしており、主砲は新たに設計された一式四十七粍戦車砲が搭載されています。

開発の背景

1940年、チヘの開発が始まりました。当初は既存の中戦車の進化を目指し、防御力や機動力を向上させるために車体の改良が行われました。しかし、当時の日本は日中戦争下にあり、戦局の優先的な生産タスクが航空機や艦艇に回されていたため、チヘの開発は思うように進展しませんでした。さらに、油圧サーボ式操向装置の導入も難航し、試作モデルの完成は1942年9月まで遅れました。

仕様の改良

チヘの試作では、外見上は九七式中戦車新砲塔チハに似ているものの、いくつかの改良点がありました。まず、車体はリベットではなく、溶接と平面ボルトで接合され、強度が高まりました。また、装甲厚も倍増し、前面装甲は35mmから50mmに強化されました。さらに、車体のデザインが直線的になり、前照灯の搭載位置も変更されました。

動力としては、エンジンをSA一二二〇〇VD（170hp）から240hpの統制型一〇〇式発動機へ換装し、乗員も4名から5名に増加させました。このような改良により、チヘの防御力と機動力は大幅に向上しました。

生産と運用

チヘの総生産数は170輌（または587輌との説もあり）です。これらは主に日本本土に配備され、戦闘にはほとんど出撃することはありませんでした。有名な逸話として、フィリピンの戦車第7連隊に配備されたことがありますが、実際に使われたのは九七式中戦車だったと言われています。

その後の発展

チヘの後継として、三式中戦車（チヌ）の開発が1944年からスタートし、同年秋には試作車が完成しました。

現存する車両

現在、チヘの完全な状態で残っている車両は存在しませんが、アメリカのRopkey Armor Museumには、チヘに酷似した増加装甲付きの改造砲塔が展示されています。これは以前、ワシントン海軍工廠に展示されていた車両で、外観はチヘとよく似ていますが、詳細は異なっています。

登場作品

一式中戦車チヘは、様々なゲームに登場しています。『War Thunder』では「一式中戦車」という名称で、日本陸軍ツリー中の中戦車としてプレイ可能です。また、『World of Tanks』では「Type 1 Chi-he」として知られ、これを基にした二式砲戦車へと発展させることもできます。

このように、一式中戦車チヘは第二次世界大戦の戦車開発史において重要な役割を果たした車両であり、その多くの改良点が後の戦車開発に影響を与えました。

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