一式標的機

一式標的機（MXY4）

一式標的機は、大日本帝国海軍が開発した無人の標的機で、その略号は「MXY4」となっています。この機体は、1940年に海軍航空技術廠（空技廠）の主導により開発が始まりました。当初の目的是、航空機による曳航方式の吹流しに替わって、艦艇の空中射撃訓練用として利用されることでした。

開発と設計

一式標的機の主要設計を担当したのは山本晴之技師で、製造は美津濃グライダー製作所と東洋金属木工が行いました。1942年5月には予備実験と実用実験を経て、「一式標的機一一型」として正式に採用されました。機体は低翼単葉と単発エンジンに加え、双フロートを装備した水上機です。

機体の仕様

この標的機は、以下のような特性を持っています。

• - 全長: 7.50 m
• - 全幅: 10.00 m
• - 主翼面積: 13.0 m²
• - 自重: 390 kg
• - 全備重量: 510 kg
• - エンジン: 日本内燃機製のせみ一一型空冷水平対向4気筒（離昇出力32 hp）
• - 乗員: 0名

機体は材質に木材が使用されており、主翼は羽布で覆われています。また、標的機としては比較的大柄で、発進には九四式水上偵察機の上部に搭載され、空中で発進します。運用中はM-1およびM-2無線操縦装置によって遠隔でコントロールされます。

運用と訓練

正式採用後は、連合艦隊の高角砲射撃訓練において一式標的機が用いられました。しかし、太平洋戦争が進むにつれて戦局が厳しくなると、その使用頻度は徐々に減少していきました。さらにドイツとの技術協力の際には本機が提示され、ドイツ側からも注目を集めていました。日本の戦争技術の一端を担った一式標的機は、軍事史において重要な位置を占めています。

収集と回収

一式標的機は標的として発射されるため、命中弾がない場合には着水後、回収されました。この際、初期モデルではパラシュートが利用されていたが、着水時の安定性を考慮し、フロートを装備していました。日本海軍におけるこの機体の役割は、戦争全体の中で重要な訓練手段の一つであったと言えるでしょう。

関連項目

関連する技術や機体として、完全自動操縦装置や美津野グライダー製作所が手がけた特攻グライダー「神龍」、そしてターゲット・ドローンなどが挙げられます。これらは、日本が独自に開発した航空機技術の発展を示すものです。

このように、一式標的機はその用途と技術的背景により、日本の航空軍事史において特異な存在として位置づけられています。

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