一括事業請負後譲渡方式

一括事業請負後譲渡方式（BOT/BOOT方式）とは

一括事業請負後譲渡方式（BOT：Build-Operate-Transfer方式、またはBOOT：Build-Own-Operate-Transfer方式）は、公共施設やインフラの建設プロジェクトにおいて、民間事業者が主導的に事業を遂行する方式の一つです。この方式では、民間事業者がプロジェクトの資金調達、設計、建設、運営、維持管理までを一括して行い、事業期間満了後に施設所有権を国や地方自治体に譲渡します。

BOT方式とBOOT方式の違い

BOT方式とBOOT方式の主な違いは、事業期間中の施設所有権の所在にあります。

BOT方式（Build-Operate-Transfer）: 民間事業者は施設を建設後、一定期間運営を行い、その後所有権を公共機関に移転します。
BOOT方式（Build-Own-Operate-Transfer）: 民間事業者は施設を建設し、一定期間所有権を持ちながら運営を行い、その後所有権を公共機関に移転します。

BOOT方式は、BOT方式に比べて、より民間事業者の裁量が大きく、長期的な視点での事業展開が可能な場合があります。

プロジェクトの流れ

1. 事業契約締結: 公共機関と民間事業者の間で、事業範囲、期間、譲渡条件などを定めた契約が締結されます。
2. 資金調達: 民間事業者がプロジェクトに必要な資金を調達します。プロジェクトファイナンスなどの手法が用いられることが一般的です。
3. 設計・建設: 民間事業者が施設の設計を行い、建設工事を進めます。
4. 運営・維持管理: 完成した施設を、民間事業者が一定期間運営し、維持管理を行います。
5. 所有権譲渡: 契約期間満了後、施設所有権が公共機関に移転されます。

メリット

公共部門の財政負担軽減: プロジェクトの初期投資を民間事業者が行うため、公共部門の財政負担を軽減できます。
民間ノウハウの活用: 民間事業者の専門知識や効率的な経営ノウハウをプロジェクトに活用できます。
迅速なプロジェクト実施: 公共部門の予算編成プロセスを経ずに、迅速にプロジェクトを開始できます。
リスク分担: プロジェクトのリスクを、公共部門と民間事業者の間で分担できます。

デメリット

事業リスク: 建設コスト超過、運営状況悪化など、民間事業者が事業リスクを負うことになります。
契約条件: 契約内容が複雑になるため、契約締結までに時間がかかることがあります。
長期契約: 長期にわたる契約となるため、契約期間中の状況変化に柔軟に対応できない場合があります。
情報公開の課題: 民間事業者の活動に関する情報公開が不十分な場合、透明性の確保が課題となる可能性があります。

適用事例

BOT/BOOT方式は、以下のような公共施設の建設プロジェクトで多く採用されています。

庁舎
公営住宅
学校施設（小学校など）
道路、橋梁
上下水道施設
発電所

内部収益率の確保

BOT/BOOT方式のプロジェクトにおいては、民間事業者が投資した資金を回収し、利益を上げる必要があります。そのため、プロジェクトの提案者は、内部収益率（IRR）を考慮し、事業計画を策定します。内部収益率の達成には、以下のような要素が影響します。

施設の利用料金
事業期間
運営コスト
需要変動

これらの要素を適切にコントロールすることで、民間事業者は安定的な収益を確保し、投資回収を図ることが可能です。

関連事項

民間金融イニシアチブ（PFI）: 民間の資金やノウハウを活用して公共サービスを提供する手法の一つです。
民営化: 公共事業を民間事業者に委ねる手法です。BOT/BOOT方式も民営化の一形態として捉えられる場合があります。
プロジェクトファイナンス: 特定のプロジェクトのキャッシュフローを担保として資金調達を行う手法です。

外部リンク

『BOT方式』 - [コトバンク]]：[https://kotobank.jp/word/BOT%E6%96%B9%E5%BC%8F-1415912
国土交通省資料：https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/01/010221/20.pdf
一般社団法人 日本病院協会資料：https://www.phaj.or.jp/distribution/lib/basic_knowledge/kiso201601.pdf

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