一日の行楽

『一日の行楽』（A Day's Pleasure）は、チャールズ・チャップリンがファースト・ナショナル・ピクチャーズで製作した4作目の映画です。当時、チャップリンはすでに大作『キッド』の撮影に取り組んでいましたが、本作は『キッド』の撮影中断期間を利用して、短期間で製作された2巻の短編作品です。

物語は、チャップリン演じる父親とエドナ・パーヴァイアンス演じる母親、そして子供たちが、ピクニックに出かける様子を描いています。しかし、その道中やピクニック先で、様々な災難やトラブルに見舞われ、計画通りには事が進まないという内容です。特に、末っ子の男の子を演じたのは、当時子役として人気を博していたジャッキー・クーガンです。映画の冒頭で、チャップリンが自動車のエンジンをかけようと悪戦苦闘する場面は、チャップリン・スタジオの前で実際に撮影されました。

しかし、『一日の行楽』は、チャップリンのファースト・ナショナル時代の作品の中では、一般的に最も印象の薄い作品と見なされています。公開当時、批評家からの評価も芳しくありませんでした。例えば、ニューヨーク・タイムズは、「他の多くのコメディアンと比べて、それほど面白いとは言えない」という評価を下しています。しかし、チャップリン自身は、自伝の中で『キッド』の製作に集中していたため、批評を気にしていなかったと回想しています。

キャスト

父：チャーリー・チャップリン
母：エドナ・パーヴァイアンス
幼い男の子：マリオン・フェドゥーカ、ボブ・ケリー
末っ子の男の子：ジャッキー・クーガン
大柄な夫：トム・ウィルソン
船酔いの妻：ベイブ・ロンドン
船長・車の男・巨漢の警官：ヘンリー・バーグマン
通りで怒る小男：ロイヤル・アンダーウッド
* 船の乗客：グランヴィル・レッドモンド

『一日の行楽』は、チャップリンの代表作とまでは言えませんが、彼のフィルモグラフィーを構成する上で、欠かすことのできない作品の一つです。家族の日常を描いた普遍的なテーマは、時代を超えて観客に共感を与え、チャップリンならではのユーモアとペーソスが、作品に深みを与えています。

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