一日摂取許容量

一日摂取許容量（ADI）とは

一日摂取許容量（いちにちせっしゅきょようりょう、英: Acceptable Daily Intake, ADI）は、特定の物質が食品に使用された際、その物質を生涯にわたって毎日摂取しても健康に影響を及ぼさないと考えられる一日あたりの量を示す指標です。この値は体重1kgあたりで表され、主にmg/kg bw/dayまたはmg/kg 体重/日として計算されます。また、日本では「一日許容摂取量」や「許容一日摂取量」とも呼ばれています。

ADIの算出方法

一日摂取許容量は、主に動物実験によって得られた無有害作用量（NOAEL）を基に算出されます。無有害作用量とは、実験に使用された動物が健康に異常をきたさない最大の摂取量を指します。ADIは、このNOAELを安全係数で割ることで求められます。一般的に使用される安全係数は、実験動物（マウスやラット）とヒトとの種の違いを考慮し、10倍の係数を設定します。さらに、個人の摂取差を考慮し、その値にさらに10倍を掛けた100倍とするのが一般的です。

許容量の意義

「許容量」という表現は、あくまでも基準を示すものであり、これを少しでも超えた場合にすぐに健康への悪影響が現れるというわけではありません。より平易に表現すれば、「この範囲内であれば心配はないだろう」といった程度の許容を意味しています。ADの許容量は「ここまでは悪影響がないが、これを超えると影響が出る」という特定の数値ではなく、その上限に近いNOAELに基づいています。ただし、人体においてこのNOAELを正確に計算するための実験は倫理的に行えないため、実際のヒトに関する値は一般に不明とされています。

似た概念：TDI

ADIの概念に関連するものに、耐容一日摂取量（Tolerable Daily Intake, TDI）が存在します。TDIは、食品中に意図的に加えられない汚染物質等について考慮される指標です。

注意点

食品に含まれる異物質のADIを理解することで、私たちの健康を守るための基準やリスク評価を行いやすくなります。食品添加物や残留農薬、化学物質の影響を考慮した上で、それぞれの物質が安全かつ効果的に使用されているかを評価することが、健康的な食生活の実現に不可欠です。特に、農薬については残留農薬等に関するポジティブリスト制度やドリフトに関する知識も重要です。

参考文献

• - EICネット：環境用語集
• - 化学物質と環境（2005年度版）：用語集

このように、一日摂取許容量は食品に含まれる物質の安全性を評価するための重要な指標であり、消費者が安心して食品を選ぶための基準として機能しています。

もう一度検索