一柳直郷

一柳直郷：江戸時代の旗本

一柳直郷（ひとつやなぎ なおさと）は、江戸時代中期に活躍した旗本であり、通称は献吉。江戸幕府において、火事場見廻役という重要な役職を担いました。彼は、播磨高木陣屋に5000石を領した旗本寄合一柳家の当主であり、その家系は『寛政重修諸家譜』にも記録されています。

生涯

直郷は、阿部正韶を実父として生まれました。安永2年（1773年）に、一柳直住の末期養子として迎えられ、18歳という若さで家督を継承します。彼の正室は、一柳家の先々代当主である一柳寛直の娘であり、同時に直住の養女でもありました。この婚姻関係は、直郷が直住の婿養子となる形式をとっており、一柳家における彼の立場をより強固なものとしました。

安永4年（1775年）には、徳川家治に初めて謁見し、幕府の一員としての道を歩み始めます。そして、寛政9年（1797年）には、火事場見廻役という役職に就任。江戸の火災から人々を守るという、重要な役割を担いました。

文化4年（1807年）、直郷は52歳でその生涯を閉じました。家督は、彼の子である一柳直敬（『寛政譜』には「順之助」として記載）が継承しました。

備考

能書家として知られる小松藩主の一柳直卿（一柳頼徳）は、しばしば「直郷」と誤記されることがあります。これは、同時代に活躍した同姓の人物であるため、混同が生じやすいと考えられます。

参考文献

『寛政重修諸家譜』巻第六百三
『寛政重修諸家譜 第四輯』（国民図書、1923年）
『新訂寛政重修諸家譜 第十』（八木書店、1965年）
一柳貞吉『一柳家史紀要』1933年。

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