一般的適応症

一般的適応症と一般的禁忌症について

一般的適応症とは

一般的適応症とは、環境省自然環境局長通知によって定められた、全ての療養泉（温泉）で効果が期待できるとされる病気や症状のことです。これは、温泉療法が特定の病気だけでなく、より広い範囲の健康問題に対して有効であることを示しています。

具体的には、以下のような状態が一般的適応症として挙げられます。

慢性的な痛みやこわばり: 関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期における筋肉や関節の痛み、こわばり
運動麻痺: 運動麻痺に伴う筋肉のこわばり
冷え性: 手足の冷えなど、体全体の冷えを感じる状態
末梢循環障害: 手足の血行不良
胃腸機能の低下: 胃もたれや腸内ガスの滞留など、消化器系の不調
軽症高血圧: 軽度の高血圧
耐糖能異常（糖尿病）: 糖尿病
軽い高コレステロール血症: 軽度の高コレステロール血症
軽い喘息または肺気腫: 軽度の呼吸器疾患
痔の痛み: 痔による痛み
自律神経不安定症: 自律神経のバランスが崩れた状態
ストレスによる諸症状: 睡眠障害、うつ状態など、ストレスが原因と考えられる様々な症状
病後回復期: 病気からの回復期
疲労回復: 日常的な疲労の回復
健康増進: 健康の維持や増進

これらの症状は、温泉の温熱効果や水圧、含まれる成分などによって改善が期待されます。温泉療法は、これらの症状を緩和し、健康な状態を取り戻すための有効な手段の一つと言えるでしょう。

一般的禁忌症とは

一方で、温泉療法が適さない場合もあります。それが一般的禁忌症です。一般的禁忌症とは、温泉に入ることで症状が悪化したり、体に悪影響を及ぼす可能性がある状態を指します。以下のような状態にある場合は、温泉に入ることを避ける必要があります。

病気の活動期: 特に発熱時など、病気の症状が活発な状態
活動性の結核: 活動性の結核
進行した悪性腫瘍または高度の貧血: 体力が著しく低下している状態
重い心臓または肺の病気: 少し動くと息苦しくなるような重い心臓病や肺疾患
重い腎臓病: むくみなどを伴う重度の腎臓病
消化管出血: 消化器系の出血
目に見える出血: 出血を伴う状態
慢性の病気の急性増悪期: 慢性疾患が急激に悪化した状態

これらの状態にある人が温泉に入浴すると、症状の悪化や予期せぬ事故につながる危険性があります。温泉療法を行う前には、自身の健康状態をよく確認し、必要であれば医師に相談することが重要です。

まとめ

温泉療法は、多くの健康問題に対して効果が期待できる一方で、注意が必要な場合もあります。自身の状態をよく理解し、安全に温泉療法を利用することが大切です。

参考文献

環境省自然環境局長: “「温泉法第18条第１項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準」及び「鉱泉分析法指針（平成26年改訂）」について” (PDF). 環境省 (2014年7月1日).
“適応症と禁忌症 - 温泉百科”. 一般社団法人 日本温泉協会.

関連項目

泉質
* 温泉療法

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