泉質

温泉の泉質分類：多様な温泉の世界

温泉は、地中から湧出する際に様々な物質を溶かし込んでおり、その成分によって様々な種類に分類されます。本稿では、温泉の分類、特に泉質について詳細に解説します。

温泉の泉質と分類

温泉の泉質は、温泉法で定められた18種類の物質の、1kgあたりの含有量と総含有量によって決定されます。これらの分析結果をまとめたものが温泉分析書であり、多くの温泉施設で掲示されています。温泉の効能は、その泉質によって大きく左右されます（ただし、古くからの伝承に基づく効能は除きます）。

療養泉の分類：11のタイプ

療養泉とは、一定の効能を持つと認められた温泉のことです。療養泉には、掲示用泉質名、旧泉質名、新泉質名の3種類の名称があり、現在では新旧両方が併用されています。掲示用泉質名は主に以下の11種類に分類されます。

1. 単純温泉: 溶存物質量が1g/kg未満で、温度が25℃以上の温泉。
2. 塩類泉: 溶存物質量が1g/kg以上の温泉。温度は問いません。
3. 二酸化炭素泉: 二酸化炭素を豊富に含む温泉。
4. 炭酸水素塩泉: 炭酸水素イオンを多く含む温泉。
5. 塩化物泉: 塩化物イオンを多く含む温泉。
6. 硫酸塩泉: 硫酸イオンを多く含む温泉。
7. 含鉄泉: 鉄分を多く含む温泉。
8. 含アルミニウム泉: アルミニウムを多く含む温泉。
9. 含銅-鉄泉: 銅と鉄分を多く含む温泉。
10. 硫黄泉: 硫黄分を多く含む温泉。
11. 酸性泉: pH値が低い酸性の温泉。
12. 放射能泉: 放射能を含む温泉。

上記の分類以外にも、特殊成分を含む温泉などがあります。新旧泉質名の詳細な対照表は、環境省などのウェブサイトで公開されています。

療養泉以外の温泉

温泉法の定義に当てはまるものの、上記の11種類の療養泉に分類されない温泉も存在します。これらは、湧出温度が25℃未満、または特定の成分の含有量が基準に満たない場合などです。このような温泉は、「温泉法上の温泉」「含フッ素泉」「メタほう酸泉」「メタケイ酸泉」「単純泉」「冷鉱泉」など、その特性に応じて便宜的に分類・命名されます。これらの温泉は、正式な効能表示はできませんが、加温して利用することで、一般的な温泉と同様の効能が期待できる場合もあります。

その他の分類：泉温、液性、浸透圧

温泉は、泉温（湧出時の温度）、液性（pH値）、浸透圧（溶存物質総量）によっても分類されます。

泉温による分類

冷鉱泉: 25℃未満
低温泉: 25℃以上34℃未満
温泉: 34℃以上42℃未満
高温泉: 42℃以上

液性による分類

酸性: pH3未満
弱酸性: pH3以上6未満
中性: pH6以上7.5未満
弱アルカリ性: pH7.5以上8.5未満
アルカリ性: pH8.5以上

浸透圧による分類

低張性: 溶存物質総量8g/kg未満
等張性: 溶存物質総量8g/kg以上10g/kg未満
高張性: 溶存物質総量10g/kg以上

このように、温泉は多様な成分と特性を持ち、様々な分類基準が存在します。それぞれの温泉の個性を理解することで、より温泉を楽しむことができるでしょう。それぞれの温泉の特性を理解し、自分に合った温泉を見つけることが重要です。

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