一貴山銚子塚古墳

一貴山銚子塚古墳の詳細

一貴山銚子塚古墳（いきさんちょうしづかこふん）は、福岡県糸島市二丈田中に位置する重要な古墳です。この古墳は前方後円墳の形状をしており、国の史跡に指定されています（指定名称は「銚子塚古墳」）。

概要

この古墳は福岡県の西部、長野川の河口近くの丘陵上に築かれた大型の前方後円墳です。その名前である「銚子塚」は、金製の銚子が埋められたという伝説に由来しています。1950年に埋葬施設の発掘調査が行われ、重要な発見が報告されています。

古墳の形状は前方後円形で、主軸を南北に向けていることが特徴です。墳丘は後円部が3段、前方部が2段に築かれており、全長は103メートルに達し、糸島地域では最大の規模を持ちます。周囲に濠は見られず、後円部の中央には竪穴式石室が設けられていると推定されています。この石室には、組合式木棺が配置されていたと考えられています。また、発掘された副葬品には、銅鏡が10面以上含まれており、その状況は埋納時の原位置を保った状態で見つかっています。古墳の築造時期は古墳時代前期の4世紀後半頃とされています。

1957年にはこの古墳が国の史跡に指定され、その後も史跡範囲の追加指定が行われています。

歴史

一貴山銚子塚古墳に関する記述は江戸時代に遡り、貝原益軒の『筑前国続風土記』に見ることができます。明治時代に通風溝が掘削された際にも言及があり、1950年には福岡県教育委員会と日本考古学協会によって発掘調査が実施されました。

この古墳は1957年の国指定以外にも、2021年と2024年に史跡範囲が追加指定されるなど、重要な文化財としての価値が認識されています。

墳丘の特徴

一貴山銚子塚古墳の墳丘は、次のような規模と特徴を有しています。比較的大きなサイズを持ち、全長は103メートルです。後円部は3段に築かれ、直径は61メートル、高さは9.5メートルに及び、前方部は2段構造で、幅29メートル、高さ6メートルとなっています。

埋葬施設

埋葬施設は、竪穴式の石室が後円部の中央に配置されており、割石を用いた小口積みで構築されています。この石室は長さ3.4メートル、幅1.4メートル、深さ0.8メートルの大きさです。内部には組合式木棺が置かれていた可能性が高く、通常の埋葬方法とは異なり、木棺の上部分を板石で覆う形が取られているようです。石室内では、様々な副葬品が出土し、それらは発見された時の状態を良好に保っています。

出土品

一貴山銚子塚古墳からは多くの文化財が出土しています。石室の内部からは、銅鏡が10面、鍍金加工された方格規矩四神鏡や、長宜子孫内行花文鏡などの中国製である後漢鏡、仿製の三角縁神獣鏡、硬玉製の勾玉、鉄製の武器類が含まれています。

また、石室外からも多くの出土品が確認されており、これらは主に京都大学総合博物館に保管されています。総合博物館の他にも、糸島高校附属郷土博物館にも一部の出土品が収蔵されています。

文化財としての位置付け

一貴山銚子塚古墳は1957年に国の史跡に指定され、その重要性は年々高まっています。周囲には他の古墳も点在しており、地域の文化的歴史を垣間見ることができます。これからの研究や発掘活動が期待される場所であり、訪れる価値のある史跡です。

アクセス

この古墳は福岡県糸島市に位置し、九州旅客鉄道（JR九州）の筑肥線、一貴山駅から徒歩約5分でアクセスできます。その周辺には他の文化財も多くあり、歴史散策の拠点としても人気があります。

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