七つ森書館

株式会社七つ森書館について

株式会社七つ森書館（ななつもりしょかん）は、1985年5月30日、東京で設立されました。代表取締役の中里英章は、南アジア史を専門とする東京大学名誉教授、中里成章の実弟で、物理学者の高木仁三郎に教えを受けた経験を持っています。この出版社の名称は、宮沢賢治の詩の一節から借用されています。

出版活動の特徴

七つ森書館は、特に「脱原発」に関連する書籍を多く刊行していることで知られています。代表的な作品の一つは、「高木仁三郎著作集」で、全12巻からなるこのシリーズは、原発問題に関する知見を深めるための重要な資料となっています。2004年には、平和を求める翻訳者が編纂した『世界は変えられる』が、日本ジャーナリスト会議から市民メディア賞を受賞しました。

このような活動は、現代の社会問題に対する鋭い視点を提供することを目的とした「市民出版」理念に基づいており、多くの著書がその理念を体現しています。特に、2010年には、村山常雄の『シベリアに逝きし46300名を刻む』や、布施哲也の『官製ワーキングプア』、山口二郎編著の『ポスト新自由主義』など、多様な作品が評価され、第25回出版梓会出版文化賞特別賞も受賞しています。

経営者の死とその影響

しかし、2019年には中里英章が急死したため、出版社は事業の精算に入ります。この経過の中で、自費出版ビジネスが詐欺行為であるとの指摘がなされ、中里英章やその息子の中里草大、さらには社の社員たちに対して厳しい批判が寄せられました。特に、評論家の佐高信は、同社から刊行した22冊の著作に対する印税が未払いであることを公にし、その被害額は2000万円に上ると述べています。

主要な著作

七つ森書館の出版物には、多くの市民活動家や研究者による重要な著作が含まれています。これには以下のような書籍があります：

• - 『高木仁三郎著作集』（全12巻）
• - 佐高信『教育革論』
• - 佐高信・落合恵子編『戦争で得たものは憲法だけだ』
• - 佐高信編『城山三郎と久野収の「平和論」』
• - 鎌田慧『時代を刻む精神』
• - 安田浩一『外国人研修生殺人事件』
• - 山口二郎編『ポスト新自由主義』
• - 布施哲也『官製ワーキングプア』、同『官製貧困社会』、同『官製クライシス』
• - 花崎皋平『民衆主体への転生の思想 弱さをもって強さに挑む』

このように、七つ森書館は社会的な問題意識を持った出版を通じて、読者に考えるきっかけを提供し続けています。

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