七ツ洞公園

水戸市に位置する七ツ洞公園は、1999年に開園した水戸市立の公園です。約8ヘクタールの敷地を持ち、最大の特徴として本格的なイギリス式の自然風形式庭園を採用しています。この庭園は、人気映画『テルマエ・ロマエ』のロケ地にもなったことで、広くその名を知られるようになりました。

公園の設計は、イギリスの専門コンサルタント会社によって手掛けられました。園内には、パビリオン（四阿）やフォリー（装飾を目的とした模造建築物）といった施設が配置されており、これらの建物に使用されている建材は、本場イギリスから輸入されたものが使われています。このこだわりが、異国情緒あふれる独特の景観を生み出しています。

公園の敷地は現在、主に二つのエリアに分かれています。一つは、直径50メートルもの規模を持つ円形花壇「秘密の花苑」を中心としたエリアA。もう一つは、五つのダムとそれに連なる池が広がるエリアBです。将来的には、ピクニックに適したエリアCや、芸術関連の施設が計画されているエリアDの整備が進められる予定で、最終的な公園面積は約14.7ヘクタールに拡大する計画があります。

「七ツ洞」という公園の名称は、敷地内に存在する歴史的な遺跡に由来しています。権現山横穴群と呼ばれるこの遺跡には、かつて七基の横穴式古墳が存在したと伝えられており、現在でもそのうち五基が現存しています。公園の名前は、これら古墳の数にちなんで名付けられたものです。

七ツ洞公園は、単なるレクリエーション施設としてだけでなく、貴重な自然環境を残す場所としても重要な役割を担っています。1989年には、その豊かな生態系が高く評価され、環境庁（現在の環境省）によって「ふるさといきものの里」に選定されました。現在の公園敷地は、小動物の生息環境を保全するための地域に指定されており、園内ではゲンジボタルやヘイケボタルといったホタル類をはじめ、多様な種類のトンボなど、様々な生き物たちが息づいています。

公園の歴史を振り返ると、整備は1987年に「ふるさとの森整備事業」として始まりました。そして、ふるさといきものの里選定を経て、1999年に開園を迎えます。2011年には東日本大震災の影響で一部の施設が損壊しましたが、その後復旧が進められました。2012年には、園内の景観が古代ローマの雰囲気を彷彿とさせるとして、映画『テルマエ・ロマエ』の撮影が行われました。この映画の公開は、公園に大きな影響を与え、多くの映画ファンや観光客が訪れるきっかけとなり、公開後の来園者数は以前の約1.6倍に増加しました。また、同年からは「秘密の花苑」の管理に関して、水戸市植物公園との連携が開始され、美しい花壇の維持管理に専門的な知見が活かされています。

七ツ洞公園は、イギリス式庭園の美しい景観、歴史的な背景、豊かな自然環境、そして映画ロケ地としての話題性など、多様な魅力を持つ公園として、市民だけでなく遠方からも多くの人々が訪れる場所となっています。

もう一度検索