七博士

七博士について

「七博士」という言葉は、歴史上の二つの異なる出来事に関連して用いられます。一つは1837年にドイツのゲッティンゲン大学で発生した事件に巻き込まれ失職した7人の教授たちを指し、もう一つは日露戦争開戦前に日本国内で対ロシア強硬論を唱えた7人の学者たちを指します。

ゲッティンゲン七教授事件の七博士

1837年、ドイツのハノーファー王国に位置するゲッティンゲン大学で、政治的な理由により7人の教授が職を失うという事件が発生しました。この事件は「ゲッティンゲン七教授事件」として知られています。当時のハノーファー王エルンスト・アウグスト1世は、自由主義的な憲法を廃止しようとし、これに反対したのが、以下の7名の教授たちでした。

フリードリヒ・クリストフ・ダールマン: 歴史学者、政治思想家。
ヴィルヘルム・エドゥアルト・アルブレヒト: 法学者、政治家。
ハインリヒ・ゲオルク・アウグスト・エヴァルト: 東洋学者、神学者。
ゲオルク・ゴットフリート・ゲルヴィヌス: 文学史家、政治評論家。
ヤーコプ・グリム: 文献学者、言語学者、民話研究家。グリム童話の編纂者として有名。
ヴィルヘルム・グリム: 文献学者、言語学者、民話研究家。ヤーコプ・グリムの弟。
ヴィルヘルム・ヴェーバー: 物理学者。

これらの教授たちは、憲法の擁護を訴え、国王の政策に公然と反対したため、大学を追放されました。この事件は、当時のヨーロッパにおける自由主義運動の高まりを象徴する出来事として、広く知られるようになりました。また、この事件がきっかけとなり、ドイツの学問の自由や大学の自治といった概念が広く認識されるようになりました。

日露戦争開戦前の七博士

日露戦争開戦前、日本国内では対ロシア強硬論が強く主張されていました。この時期に、政府や世論に対して、開戦を積極的に支持する意見書を提出した7人の学者たちがいました。彼らは、日露間の緊張が高まる中で、日本の国益を守るためにはロシアとの戦争も辞さないという立場を鮮明にしました。この7人の学者たちは「七博士」と呼ばれました。この七博士は以下の通りです。

戸水寛人: 法学者。
高山樗牛: 文学者、評論家。
富井政章: 法学者。
中村進午: 法学者。
小西重直: 法学者。
金井延: 法学者。
寺尾亨: 法学者。

彼らの意見書は、当時の世論を大いに刺激し、日露戦争開戦への機運を高める上で重要な役割を果たしました。彼らの主張は、日本のナショナリズムを高揚させ、国民を戦争へと駆り立てる一因となりました。しかし、彼らの主張は、その後の日本の歴史において、批判的に見られることもあります。特に、戦争を煽ったとして、その責任が問われることもあります。

このように、二つの異なる「七博士」は、それぞれが歴史の中で重要な役割を果たしました。ゲッティンゲンの七博士は、学問の自由と大学の自治を守るために戦い、日本の七博士は、自国の利益のために戦争を支持しました。これらの出来事は、歴史を深く理解する上で、非常に重要な出来事と言えるでしょう。

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