七年式三十糎榴弾砲

七年式三十糎榴弾砲について

七年式三十糎榴弾砲（7ねんしき30センチりゅうだんほう）は、大日本帝国陸軍の重砲であり、1918年に正式に制式化されました。この砲は口径305mmを標準とし、基本的に沿岸防衛用に開発されたものですが、後に攻城戦でもその力を発揮する設計に改良されました。

開発の背景

この砲の開発は、日露戦争の経験から始まります。戦争中、陸軍技術審査部は沿岸砲である二十八珊砲の攻城砲としての利用を提案しましたが、初めは困難な点が多かったため実現には至りませんでした。しかし、旅順攻囲戦の際にその必要性が認識され、実際に二十八珊砲が用いられることになりました。日露戦争を通じて、大口径の重砲の重要性が理解され、より効果的で強力な砲の開発が求められるようになったのです。

当初の二十八珊砲が徐々に陳腐化していく中で、新しい305mmの砲を開発するための動きが始まりました。これには、敵艦船の装甲を貫通できる強力な弾薬と、より広い射程を持つ火砲が必要だとしました。

短榴弾砲と長榴弾砲

七年式三十糎榴弾砲は、短榴弾砲と長榴弾砲の2種類に分類されます。短榴弾砲は、固定式の砲架を持ち、主に要塞防衛用に設計され、相対的に軽量でありながらも高い威力を持っていました。一方、長榴弾砲はより長い射程を持つことを目的に設計され、高精度の射撃が可能でした。

短榴弾砲は、特に敵艦や土地の要塞に対する打撃力が求められ、数多くの試験を経て1918年に制式化されるに至りました。長榴弾砲もまた高い破壊力を持ち、特に敵陣地を撃破するために効果的な役目が期待されました。

運用の実際

これらの榴弾砲は、大正から昭和時代にかけて全国の要塞や軍事基地に配備され、海上及び陸上での戦闘に参加しました。戦争の激化に合わせて、さまざまな戦場での使用例が報告されています。特に九十九里浜などの重要地点にも展開され、国防の重要な一翼を担っていました。

また、これらの砲はその大きさと重量から、機動力には制約がありましたが、移動砲台とし利用できるように設計が改良されました。この改修によって、砲を分解し、特別な運搬車を使って一つの場所から別の場所へと運ぶことが可能となりました。

終戦後の影響

日本の敗戦後、七年式三十糎榴弾砲は戦闘から撤退しましたが、現在でも一部の砲は博物館や展示施設に残されており、その歴史的な価値を物語っています。また当時の技術や戦術がどのように進化していったのか理解するための重要な資料ともなっています。

このように、七年式三十糎榴弾砲は、日露戦争の教訓をもとに開発され、日本の防衛戦略の重要な部分を担った砲の一つであったと言えるでしょう。

もう一度検索