攻城砲

攻城砲について

攻城砲（こうじょうほう）とは、城や要塞、砲台などの防御施設を攻撃するための大口径の火砲を指します。この兵器は「重砲」とも呼ばれ、要塞砲や野戦で使用される大型の砲を含む、より広範なカテゴリに分類されます。攻城砲は、強固な防壁を持つ施設を制圧する上で特に重要な役割を果たしてきました。

歴史的背景

攻城砲の歴史は、中世にさかのぼります。当時、大砲は主として建物や施設を破壊するために使用されていましたが、その後、攻城戦においても大砲の重要な地位が確立されました。厚い土塁や石垣、コンクリートで築かれた要塞に対抗するためには、長砲身のカノン砲や大口径の榴弾砲、さらには臼砲が用いられました。カノン砲は高初速で水平弾道を持つ弾丸を発射し側面を撃つことが得意であり、榴弾砲は重い弾丸を大きな角度で発射し、上部を攻撃することを目的としていました。

攻城砲はその特性上、重量が非常に重くなる傾向がありました。中世には、初期の攻城砲として巨砲が製作されましたが、要塞砲とは異なり、攻城砲は敵陣に運ぶ必要があったため、近世になると輸送の制約からサイズの過剰な大型化は避けられるようになりました。例えば、フランス革命戦争の時代には、攻城砲のカノン砲の最大口径が24ポンド、臼砲が12インチに制限されました。この時期の攻城砲は、野戦での運用も視野に入れられるようになっていました。

近代の進展と変化

近代に入ると、防御設備の強化に伴い、攻城砲は再び大型化を求められるようになります。輸送手段の向上により、攻城砲は分解して輸送し、現地で組み立てる方式が採用されました。また、列車砲の採用により、攻城砲は野戦とは異なる専用の兵器として位置づけられました。昭和初期には、カノン砲が15センチ、榴弾砲が20センチ、臼砲が42センチ以上の構成が基本とされました。

運用が限られ、次第に大型化が進んだ攻城砲は、第二次世界大戦の時代に、新たな兵器システムと対抗する形でその役割を終えていくこととなります。航空機による爆撃や、後に登場する弾道ミサイルが登場したことで、攻城砲は戦艦などと同様な運命をたどることになりました。攻城砲を利用した防御戦闘も試みられましたが、その装填速度の遅さから大きな成果は上げられませんでした。

代表的な攻城砲

歴史の中で使われた攻城砲には、次のような例があります：

• - 初期の攻城砲
• - ウルバン砲
• - モンス・メグ
• - フランス革命戦争の24ポンドグリボーバルカノン砲や12インチグリボーバル臼砲
• - クリミア戦争のマレット臼砲（実戦投入はされていない）
• - 南北戦争のパロット砲（30ポンド以上）や13インチ列車臼砲
• - 日露戦争の二十八糎砲（元は沿岸砲）
• - 第一次世界大戦のシュコダ30.5cm臼砲やディッケ・ベルタ
• - 第二次世界大戦の九六式二十四糎榴弾砲、カール自走臼砲、M1 240mm榴弾砲

以上のように、攻城砲は長い歴史の中で独自の役割を果たしながら、その形態や運用方法も時代と共に変化してきました。

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