七色のおばんざい

七色のおばんざい：名古屋の居酒屋で紡がれる、人生の機微

2005年、NHKのよるドラ枠で放送された『七色のおばんざい』は、名古屋のオフィス街に佇む居酒屋「ばんざい屋」を舞台にした、全24話の心温まるドラマです。柴田よしきの短編小説集『ふたたびの虹』を原作に、個性豊かな常連客と、女将・吉永悦子（演：相田翔子）の人間模様が丁寧に描かれています。

相田翔子にとって本作は、Wink活動停止後、歌手や女優業に加えバラエティ番組への出演を経て初の主演作にして帯ドラマへの出演作となりました。彼女の演技は、複雑な過去を持つ悦子の繊細な感情を巧みに表現し、視聴者の共感を呼びました。

物語の中心：女将・悦子と彼女の周囲の人々

悦子は、過去にパリで画家と駆け落ちし、結婚、出産、そして離婚という経験を持つ女性です。彼女は、その辛い過去を乗り越え、「ばんざい屋」で明るく振る舞い、常連客を温かく見守ります。

一方、常連客たちもそれぞれに人生の悩みを抱えています。骨董屋を営む清水啓一（演：筧利夫）は、過去の結婚の失敗から女性との関係に臆病になっていましたが、悦子との出会いをきっかけに心境に変化が訪れます。また、悦子の元夫の妹で、美術プロデューサーの糸川ナミ（演：富司純子）は、悦子と元夫の離婚を未だに許せず、悦子を敵視しています。

これらの登場人物たちの織り成す物語は、笑いあり、涙あり。時にコミカルに、時にシリアスに、人生の喜びと悲しみ、そして大切な人との繋がりを描いています。

ドラマを彩る脇役たち

ドラマには、悦子と常連客たちを取り巻く様々な人々が登場します。それぞれのエピソードが、物語に深みを与え、よりリアルな人間関係を描写しています。江守徹、風間トオル、美山加恋らベテランから若手まで幅広いキャストが出演し、それぞれの役どころを丁寧に演じ切っています。

毎週異なるテーマ、そして全体を貫く大きなテーマ

全24話は、毎週異なるテーマで構成されていますが、全体を通して「家族」「愛」「許し」「再生」といった普遍的なテーマが流れています。それぞれのエピソードが、最終的に「ふたたびの虹」という大きなテーマに繋がっていく構成になっています。

スタッフ

脚本は長川千佳子、音楽は小六禮次郎、演出は西谷真一と海辺潔が担当。後藤真希が歌う主題歌「スッピンと涙。」もドラマの世界観にマッチしており、多くの視聴者に印象を残しました。

『七色のおばんざい』は、単なる居酒屋ドラマではありません。

それは、登場人物一人ひとりの人生ドラマであり、現代社会における人間関係の機微を繊細に描いた作品です。登場人物たちの心の機微、そして彼らを取り巻く様々な出来事を通して、人生の温かさや大切さを改めて考えさせられる、そんな作品となっています。 心に残る名作として、多くの人々に長く愛される作品と言えるでしょう。

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