三つの歌

三つの歌

『三つの歌』は、NHKラジオ第1放送で放送されていた人気の聴取者参加型番組です。1951年11月2日に特集番組として初放送され、1952年1月7日から本格的なレギュラー放送が始まりました。番組は1970年3月30日までの18年3ヶ月にわたり、多くのリスナーに愛されました。この番組は、出場者がピアノの伴奏を手がかりに曲を推測し、歌詞を正確に歌うことを競う「歌謡クイズ」の形式を持っていました。

構成と内容

放送は観客を交えた公開形式で行われ、その場で出場者が募られました。出場者は最大3曲のうたを歌うことに挑戦でき、すべての曲を正しく歌い上げることで賞金を獲得することができました。具体的には、3曲を歌い抜くと2000円、2曲で500円、1曲で300円が与えられました。このような形式により、クイズの緊張感と素人の歌唱コンペティションの楽しさが巧みに融合した番組となっていました。

取材や番組の制作は、司会の宮田輝（当時のNHKアナウンサー）と出場者とのユーモア溢れるトークによって盛り上がり、リスナーの間で圧倒的な人気を誇りました。番組開始初期には、毎週1万通以上の参加申し込みが寄せられるなど、非常に高い関心を集めました。また、地方での公開放送も行われ、各地での盛況ぶりが伝えられました。

出演者と制作

番組の司会を務めた宮田輝は、オープニングに定番の口上を述べており、「みんなに親しまれた古い歌、だれでも知っている新しい歌……」というフレーズは多くの視聴者に親しまれました。また、伴奏を担当したピアニストの天池真佐雄は、番組のテーマ音楽も手掛けており、その音楽的センスが番組の印象を強めました。

主題歌とエピソード

主題歌も天池の手による「三つの歌」で、1952年にはキングレコードからシングルがリリースされ、越山あつ子や荒井恵子などによって歌われました。この番組の人気は高く、1953年ごろには、参加料を取る偽物の『三つの歌』が地方の興行で乱立するという事態も発生し、同じ町で本物と偽物が競合することもありました。

『三つの歌』はその独創的な形式や、聴取者の参加を通じたドラマティックな展開が評判を呼び、長年にわたり多くのファンに支持されました。耳に残る楽曲や軽妙なトーク、視聴者参加型のユニークなスタイルは、テレビやラジオの娯楽番組における新たな形を生み出す一助となったのです。

参考文献

この番組に関する詳細な情報は、NHK放送文化研究所の編集による『20世紀放送史』（2001年）や、NHK放送史の外部リンクを参照してください。

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