三一書房

株式会社三一書房の概要

株式会社三一書房（さんいちしょぼう、San-ichi Publishing Co., Ltd.）は、日本における著名な出版社の一つです。1945年に設立され、その後も数十年にわたり多様な書籍を刊行し続けてきました。特に社会科学や人文科学に関連する悩み、議論や研究を扱った書籍が多く、広範な読者層を持っています。

沿革

三一書房は、1945年10月、京都市左京区吉田泉殿町にて創業されました。初めての出版物は、1946年に発行されたM・トレーズの『人民の子』です。この作品を皮切りに、出版活動が本格化し始めます。翌年の1947年には東京出張所を設立し、1949年には京都社屋を移転して株式会社三一書房の法人が設立されます。

1955年には、特に学術書に重点を置いた「三一新書シリーズ」が創刊され、1956年からは純平・五味川による『人間の條件』の刊行も開始されました。この頃から、三一書房は若者を中心にした支持基盤を築いていきます。

1961年には東京本社が新たに設立され、1976年には大島渚監督による『愛のコリーダ』がわいせつ文書として訴訟の対象となり、複雑な法的状況に直面しました。1986年には東京本社を文京区へ移転し、その後の1998年には社会的な反響を呼ぶ一連の事件が発生しました。この中には、公安警察による著者特定のための捜査が取り上げられるなど、社会的にも注目すべき問題が浮上しました。全社的な労働争議が起き、多くの団体が結成されつつ、労働委員会への救済申し立ても行われました。

2005年には最高裁判所で和解が成立し、労働側とのトラブルは一定の解決を見ました。しかし、2009年には再び労働に関する争議が発生し、東京都地方労働委員会が救済命令を下す事態に至りました。2011年には出版部門の免責的事業譲渡が決議され、東京地方裁判所での和解も実現、事務所を神田神保町へ移転することとなります。

現在の状況

現在、三一書房は東京都千代田区神田神保町に本社を構えています。この地域は、多くの出版社や書店が立ち並ぶ、知識文化の中心とも言える場所です。三一書房は、新書シリーズを中心に数多くの書籍を刊行しており、その多くが60年代から70年代を越えて多くの若者に支持されてきました。

代表的な刊行物

三一書房の代表的なシリーズには、三一新書シリーズがあります。このシリーズには、『人間の條件』や『戦争と人間』全18巻など、多数の重要な書籍が含まれています。また、全集や資料集も刊行しており、日本の庶民生活や文化に関する貴重な資料を提供しています。単行本では、『新版哲学・論理用語辞典』や『検定不合格日本史』など、幅広いテーマにわたった作品を取り扱っています。

2012年には新たに「さんいちブックレット」を創刊。これは、現代社会における重要なテーマを扱った短冊形式の書籍シリーズで、例えば『原発民衆法廷』や『原発事故と被曝労働』などが刊行されています。

総括

三一書房は、長い歴史を持ちながらも常に時代の変化に対応し、多種多様な書籍を通じて知識の普及に貢献している出版社です。今後も、多くの読者に選ばれる書籍を提供し続けることでしょう。

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