労働争議

労働争議とは

労働争議（ろうどうそうぎ）は、労働者が自身の労働条件を向上させるために行う様々な活動を指します。日本の法律「労働関係調整法」第6条では、労働関係の当事者間で意見が一致せず、その結果として争議行為が発生する状況を労働争議と定義しています。このような争議行為は労働者側からは「労働闘争」や「労使紛争」とも称されます。

争議行為の種類

労働争議における具体的な争議行為として、主に次のようなものが挙げられます。使用者側の行為としては、ロックアウト（ストライキの逆の行為）もありますが、ここでは労働者側の争議行為に焦点を当てます。

ストライキ

ストライキは、労働者が行う代表的な争議行為で、一般的には「スト」とか「同盟罷業」と呼ばれることもあります。これは、労働者が労働条件の改善を求めるために就業を拒否する方法です。

ピケッティング

ピケッティングは、ストライキを実行する際に行われる活動で、ストライキを実施する労働者が職場を取り囲み、他の労働者が職場に入れないようにする行為です。これには、ストライキの目的を社会に訴える意味合いもあります。合法であるため、労働組合はその活動を行う権利を有しています。

サボタージュ

サボタージュは、労働者が故意に業務の効率を低下させたり、会社に損害を与えたりする行為を指します。元々フランス語に由来し、木靴（sabot）を用いた反抗が起源とされています。この手法は、労働者が自身の労働条件を改善するためのメッセージを送る手段となることがあります。

順法闘争

順法闘争は、法律や規則を厳密に守る形で業務の進行を故意に遅延させる行為です。主に国家公務員や労働者によって使用されます。法令を遵守しているため、本来的にはストライキではないとされますが、実際には業務に重大な支障をきたすことがあります。

日本国有鉄道の順法闘争

日本国有鉄道（国鉄）では、「安全サボ」という手法が用いられました。運転士が速度を故意に落とし、列車のダイヤを乱すことで上層部に労働条件改善を求めました。この行動により、利用者側からは反感を抱かれることが多く、結果として暴動などの問題が生じることもありました。順法闘争は、1960年代から1970年代にかけて頻繁に発生し、乗客の不満を高める結果となりました。

ボイコット

ボイコットは、労働者が自社製品の購買を控えることで経済的な圧力をかけ、目的を達成しようとする手段です。この行為は原則として合法ですが、取引先に不買を働きかける場合は違法とされます。

労働争議の現状

最近の調査によると、労働争議の発生は非常に稀であり、過去3年間（平成26年7月1日から平成29年6月30日まで）で、「労働争議があった」との回答はわずか1.7%とされています。これに対して、労働争議がなかった理由として「対立した案件がなかったため」が最も多く挙げられています。また、労働組合が争議行為を伴う場合も少なく、平成30年の調査では「総争議」の件数320件、参加人数は103,342人で、前年よりも減少しています。

結論

労働争議は、労働者が自らの労働条件を改善するための重要な手段でありますが、近年ではその発生が減少している傾向にあります。労働者と使用者の間での対話や解決手段が進化し、争議行為が起こりにくい環境が整っているとも考えられます。

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